千葉県に6施設を展開する「ファミール産院」グループが注目を集めている。全国的に出生数が減っているにもかかわらず、分娩数、医療収入ともに右肩上がりを続けている。いったいなぜ成長を続けられるのか。ほかの産院とは何が違うのか。経営コンサルタントの岩崎剛幸さんがリポートする――。
昨年11月にオープンした「ファミール産院つだぬま」
筆者撮影
昨年11月にオープンした「ファミール産院つだぬま」

「開院すると地域の出生率が上がる」と噂

厚生労働省が12月1日に発表した人口動態統計速報によると、22年1月から9月までの出生数は累計で59万9636人でした。21年の同期間よりも3万人減少。このペースで推移すると統計開始以来はじめて、出生数80万人を下回る可能性がでてきました(厚生労働省 人口動態統計速報参照)。

このような中、新進気鋭の産院として各業界から注目を集める医療法人があります。

「出店すると地域の出生率が上がる」とも言われている産院が医療法人社団マザー・キー ファミール産院グループ(杉本雅樹理事長)です。

右肩上がりの収益

医療法人社団「マザー・キー ファミール産院」は船井総合研究所主催のグレートカンパニーアワードにて2013年に社会貢献チャレンジ賞2022年に顧客感動賞を受賞しました。13年時点ではまだ館山の1院のみの経営でした。

千葉県館山市という高齢化が進む地域で、地域コミュニティーの中核として活動していた同院の考え方や取り組みは独特ではありましたが、当時はまだ個人産院の域をでていませんでした。

それから9年がたち、現在は千葉県内に6つの施設を展開し、医業収入は13年の3倍となる約22億円(5施設での数字)に成長しています。

「医療経済実態調査」(中央社会保険医療協議会2021)によると、産婦人科の一般診療所(入院診療収益あり)の1施設当たり収入は個人開業で1億7500万円、医療法人で約4億円です。これに対して、ファミール産院は1院あたり約4億4000万円です。

少子化の時代に、なぜファミール産院は成長を続けているのでしょうか。