感謝の気持ちをこめて合掌低頭する。
身が清められた気になる
途中、坐禅堂の前を通りかかり、ふと中をのぞき見てびっくりした。作務を終えた人たちの一部は、ふたたび堂内に入り自主的に坐禅をしているのである。こちらは年配者が多い。終了の午後9時までにはまだ小1時間ある。もう一回、坐るつもりなのだろう。何とも熱心なことだ。
卓を囲んだ歓談派と、お茶もそこそこに再度坐る坐禅派との対比がおもしろい。私はどちらだろうかと考えたが、まあ、その中間あたりだろう。どっちに入ってもいいような、つまりは中途半端ということか。
外に出るとすっかり夜になっていた。作法通り、本堂に向かって感謝の心をこめて合掌低頭(がっしょうていず)する。なんだか身が清められた気になる。やっぱりこういう夜は、バランスを取って酒池肉林か。編集氏とカメラマンと一致した意見は「焼き肉とビール」となる。週に一度、心身のリフレッシュのためにプチ坐禅修行。新しい週末の過ごし方としては悪くない。その後「焼き肉とビール」となるかは、その人しだいだが。
※すべて雑誌掲載当時
(的野弘路=撮影)