映画の登場人物の言動から精神医学を学ぶ「シネマサイキアトリー」。長崎大学医学部発のこの試みは、ビジネスマンがメンタルヘルスを自分でケアするための、有効なツールになる可能性を秘めている。

映画の登場人物が典型的な心の症状を示している

5月11日午後6時――。長崎大学病院の1階にある「精神カンファレンスルーム」に8人の医学部生が集まってきた。小学校の教室をひと回り小さくした広さの部屋のなかには、白い壁に向かってプロジェクターが用意してあり、彼らはその後ろに椅子を並べて座った。すると1人の医学部生が、「きょうのプレゼンターは私が務めます」といいながら立ち上がった。

「これから観る映画は1988年に公開されたダスティン・ホフマンとトム・クルーズ共演の『レインマン』です。自閉症の兄・レイモンドが受け継いだ父親の遺産300万ドルを目当てに、弟のチャーリーがその兄をシンシナティの病院から連れ出してロサンゼルスに向かいます。そこで『レイモンドは自閉症の典型例か』『だとしたら、どのシーンが自閉症の症状を表現しているか』を考えながら観てください」