では、今回の法人企業統計の結果はどう見ればよいのだろうか。本業での儲けに相当する営業利益率の推移を見ると7~9月期の営業利益率は4.0%と、コロナ危機で最悪だった20年7~9月期(2.8%)と比較して大幅な上昇を実現した。だが、コロナ前で経済が正常だった17年7~9月期の数字(4.4%)よりも低く、到底、過去最高の業績とは言い難い。
経済統計を見る場合には、常に絶対額と率について区別する必要がある。株価の変動にしても同じで、日経平均株価が1000円下落したといっても、同株価が1万円台だった10年前と、2万円台後半の今とでは意味がまるで異なる。
10年前における1000円の下落は10%の下落なので、分かりやすく表現すれば暴落となる。だが2万7000円から1000円下落したときの下落率は3.7%にすぎない。株価が高い状態では、過去最大の下落幅という言葉にほとんど意味はない。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら