「こんな田舎に、こんな施設を作って大丈夫か?」

2007年に本館がオープンした時、筆者はまだサラリーマン記者で毎日、都内に通勤していたので、本館が出来上がっていく様を逐一、見ていた。

「こんな田舎に、こんなでかい施設を作って大丈夫か?」

それが最初の感想だった。

もともとこの辺りで大型のショッピングセンターといえば、野田市のジャスコ(現在はイオン)しかなかった。しかし2000年を過ぎた頃から国道16号線沿いに続々と新しいショッピングセンターが誕生し、新しいショッピングセンターができると、週末にその周りで渋滞が起き、古いショッピングセンターが廃れる、という焼畑農業のような状態が続いていた。

そこに敷地面積約4万平方メートル、延べ床面積約10万平方メートルの新施設。流山おおたかの森駅の駅前も、まだ何棟かマンションが立った程度で、ほとんどが空き地か森だ。ここに人が集まってくるイメージが湧かなかった。

だが建物ができ始めると「おや?」と思った。広場に向かって大きく張り出したモダンな透明の天井が作られ、壁に描かれた出店店舗のロゴは白で統一されていた。「とにかく目立とう」とガチャガチャした感じの今までのショッピングセンターと比べて、なんとなく品がいいのだ。店舗の周りに大きな欅の木が植っているのもいい。

流山で「アルマーニ」は無理だった

だが実際にオープンすると期待は再び不安に変わる。

駅から見える一等地にはイタリアの高級ファッションブランド「ARMANI EXCHANGE(アルマーニ エクスチェンジ)」と、この頃、流行り始めていたスペインのファストファッション(最先端のファッションを手頃な値段で買える店)「ZARA(ザラ)」。1階にある食料品売り場は「FOODMAISON(フードメゾン)」と名付けられ、入り口には黒とピンクに彩られたフランスの高級食料品店「FAUCHON(フォション)」。

フランス・パリにあるフォション
写真=iStock.com/anouchka
フランス・パリにあるフォション(※写真はイメージです)

「いやいや流山でFAUCHONは無理でしょ。おばちゃんたちは読めないもん」

おおたかの森S・Cに集まったハイソな店舗は、明らかに流山に似つかわしくなかった。

オープン当初、唯一しっくりきていたのが「食品館イトーヨーカドー」。フォションが入る「フードメゾン」は敷居が高過ぎ、物珍しさで覗いた人も結局、ヨーカドーに流れてしまう。

10周年を迎える頃には「ZARA」がインテリアの「unico(ウニコ)」、「ARMANI EXCHANGE」は「スターバックスコーヒー」に代わった。