アメリカの金融引き締めは止まらない

日米の金利差が縮まることは、しばらくは考えられません。アメリカの金利引き上げのペースが緩むことで、日米金利差の拡大のペースが緩むことはあっても、日米金利差が縮まることはないでしょう。日銀が金利を引き上げられないからです。

つまり、今後も円安は進んでいくと考えるのが自然です。

2022年12月、日銀もついに「利上げ」に踏み切りましたが、これは市場の圧力に負けた日銀の「悪あがき」です。具体的には0・25%だった長期金利の「防衛ライン」を0・5%に引き上げたわけですが、これは日銀にとっていわば「最終防衛ライン」であり、これ以上の引き上げは難しいのが現実です。

欧米が金利をさらに引き上げれば、結局、金利差は広がり続けます。一時的に円高に振れても、元に戻るのは時間の問題でしょう。

もちろん、マーケットは一直線ではありません。たびたび微調整が入る可能性はありますが、それは短期で終わるはずです。今回の日銀の利上げの影響による円高も、いずれは元に戻っていくでしょう。

今、マーケットでドル高・円安を説く人は、大体「日米金利差拡大」をその理由にしているようです。確かに、これはドル高・円安の大きな理由です。しかし、それだけでは、1ドル180円とか200円程度までしか説明できません。

QT(量的引き締め)を甘く見てはいけない

私が1ドル400円、500円となり、その後は天文学的数字になると言っているのは、日米金利差よりも「ばらまいたお金を回収(QT:量的引き締め)」するFRBと「未来永劫、お金をばらまき続けなければならない(QE:量的緩和継続)」日銀との金融政策の違いなのです。

その結果、回収されて希少価値が出てくるドルと、毎日天から降ってくる円では、その価値に大きな差が出てくるのです。近年の世界的なインフレの主因は「お金のばらまきすぎ」ですから、インフレをコントロールできるFRBの通貨と、「インフレをコントロールできない」日銀の通貨との価値の差は将来、非常に大きくなってくるだろうと思っているのです。

そこで、1ドル400円から500円くらいまでドル高・円安が進みます。その結果、日本は世界に冠たるインフレ国家となります。

しかし、日銀にはそれを制御する手段は何もない、ということでハイパーインフレが進行(円の紙くず化)すると思っているのです。

日銀が未来永劫にQEを継続しなければならないのは、これほどの超低金利で日本国債を購入するのは日銀しかいないからです。

日銀が購入をやめれば(QEの中止)長期金利は暴騰し、前述したように政府は予算を組めなくなります。また、日銀自身、非常なる低金利で莫大な量の国債を保有していますから、巨大な債務超過が発生してしまいます。