新聞や週刊誌などで、「マンションは今が買い時」といった見出しを目にすることが増えた。新築マンションの供給が増え、かつ価格もお手頃なものが多いとのことだが、本当のところはどうなのか。

「端的に言えば、ここ数年でも一番の買い時だと思います」と言うのは、不動産コンサルティングやマーケティング、住宅関連のセミナーを行っているアカデミア・アセット・エージェント代表の岡本郁雄氏だ。

物件が豊富な理由はいくつかある。まず、東日本大震災の影響で販売延期になった物件が、去年の後半から販売され始めたこと。さらに、リーマンショック前の地価ミニバブルの際にまとまった土地が売りに出され、それを開発した大規模物件が分譲のタイミングを迎えたことだ。

不動産経済研究所が公表した首都圏のマンション市場動向によれば、2011年末の販売在庫数は6166戸。前年同時期比でほぼ10%増えた。2012年3月時点での在庫数は5125戸とやや減ったが、2012年末までの新築マンションの供給戸数は5.3万戸と、昨年比で19.1%も増える見込みだ。

「地域のトップ物件を中心にすぐ完売するケースも多いのですが、買う側にとって『選べる』状況にあるのは確かです」(岡本氏)。中古マンションの流通量も、昨年より2割以上増加している。

価格も下落傾向にある。首都圏における11年の新築マンションの平均分譲価格は4578万円と、前年比で2.9%ダウン。3.1%アップとなった千葉県を除き、東京都下の7.2%ダウンを筆頭に軒並み下がった。

今年に入ってからはやや上昇傾向にあるものの、リーマンショック前と比べればかなりお買い得感がある。現行の住宅ローン減税の適用対象が2013年入居分までなこと(延長の可能性はある)、2014年から消費税が上がることも考えると、今が買い時という見方には一定の説得力がある。

とはいえ、買うにあたってはそれなりの注意が必要とも岡本氏は言う。