「これから日本の人口が減少する中、いい物件を買えば必ず資産価値が保てるという感覚は捨てたほうがいいでしょう。ローン返済が家計を圧迫するような物件に、無理に手を出すのは危険です」
あまり安さだけを追求するのも失敗のもとと言うのは、物件の調査から家計の組み替えまで、住宅購入のトータルサポートを提供するアドキャストの代表、藤森哲也氏だ。
「耐震性、地域性、浸水や液状化のリスクなど、安い物件には安いなりの理由があります。管理費や修繕積立金が高すぎないか、中古物件の場合は修繕計画どおり進んでいるかにも気を付けてください」
大震災の後だけに、災害対策も気になるところ。最近の売り出し物件では、免震構造や自家発電装置などが商品企画のポイントになっている。
震災後は買い手のニーズも大きく変わったと、藤森氏は言う。
「資産として物件を所有するというより、家族にとっての『利用目的』を重視する傾向が強いと感じます」。
職場や子供の学校に近い、緑が多いといった生活の豊かさを優先するのか、家族のライフステージの変化に合わせた住み替えを前提に、売りやすさを重視するのか。
「もし今マンションを買おうとするなら、その物件がこれからの暮らしの中でどんな役割を担うのか、家族ではっきりさせておく必要があると思います」