東横線沿線では物件が不足!

「住宅を購入するなら、新築の庭付き一戸建てに限る」という価値観が長く続いていた。しかし、ここへきて「中古住宅を買って好きなようにリフォームして住む」という選択をする人が増えている。

「日本では上物に資産価値はほとんどない。一戸建てではなく、土地を買っているのだ」というのはよく聞く話である。しかし設計アトリエ代表の一級建築士・瀬野和広氏は、「だからこそ中古住宅を買う意味がある」と主張する。なぜなら上物が二束三文ということは、中古住宅を買えば上物がタダ同然で手に入るということにほかならない。瀬野氏はいう。

「私からすれば古い家は宝の山。資材を再利用しないなんてもったいない。20年たっていようが、30年たっていようが、腐っていない限り使いますよ」

実際、柱や梁として使われていた木材のほうが、水分が抜け強度は増しているという。中古住宅のリフォームは、資源を有効に活用できるうえ、金額的にも新築より安上がりなのだ。

では、マンションについてはどうだろうか。中古マンションのリノベーション(改装)を多く手がける株式会社ブルースタジオの石井健氏によれば、中古マンションは「いまが買いどき」。

新築の買い替え需要は落ちてきているが、中古マンションは東京都心や東横線沿線などの人気地区では、物件が足りず値上がりしている。おそらく価格は今後も横ばいか上昇傾向が続く。

「買うと決めたなら早いほうがいい」と石井氏はいう。中古マンションなら新築に比べて割安なため、若い人でも都心に住むことができる。中古だから汚いとか機能が劣ると思うのは早計だ。リノベーションをすれば内装は新品同様になるうえ、自分のこだわりを反映した空間に住むことが可能である。

このとき個性の強いデザインにすると、手放す際に買い手がつくのかという不安があるが、似たセンスを持つ人に買ってもらえれば、むしろ買ったときより高く売れるケースすらあるという。