国も中古住宅の購入を後押し

一方、中古マンションを購入して改装することに注意をうながすのは住宅評論家の櫻井幸雄氏である。

「改装すれば新築同様の設備が手に入ると思うかもしれないが、個人が改装できるのはあくまでも専有部分のみ。窓やベランダなどは共有部分にあたるので、基本的に一切手を付けることはできない部分です」

マンションによっては、使える電気の容量が決まっているなどの制限もあるため注意すべきだという。その点、新築マンションでは充実した防犯体制、来客用のゲストルーム、流しに設置されたディスポーザー(生ゴミ処理機)など、最先端設備を使える魅力がある。

「中古にこだわらず、並行して新築マンションも探したほうがいいでしょう」(櫻井氏)

とはいえ中古住宅を改装して住むのは時代の趨勢になりつつある。とくに成約ベースでは築10年以下の築浅物件と築31年以上の物件が伸びるという両極化が起きている。というのも、国の政策として中古住宅の活用が推進されているからだ。

「平成15年のわが国の中古住宅の流通シェアは13%でした。国交省の『住生活基本計画』では、28年までに23%にするのを目標としています」(石井氏)

それが現実となるのは先のことに違いない。しかし「『いずれ中古と新築の割合はひっくり返る』と見る専門家も多い」と設計アトリエ代表の瀬野氏は言う。

一級建築士事務所Office Yuu代表のYuu氏も、国の政策がリフォームを支援しているいまがチャンスだという。

「住宅ローン減税の最大限度額が160万円から、条件次第では600万円にまで引き上げられました。これは新築だけでなく、中古にも適用されます(※雑誌掲載当時)」

バリアフリーへの改装や自然素材を使ったエコリフォームなら、自己資金でも減税の対象になる。また、地元業者に依頼するなどの条件を満たせば、市町村からリフォームの補助金が出ることもあるという。これを見逃してはもったいない。