若い人を中心に、中古住宅をリノベーションして住む人が増えています。こう言うと、「リノベーションって、リフォームとはどう違うの?」と思うかもしれません。リノベーションとは英語で改装とか改修を表す言葉で、はっきりした定義があるわけではないのですが、私たちは次のように位置づけています。
日本の住宅は築年数がたつにつれて価値が落ちます。それを手直しして新築時の価値に戻すのがリフォームです。「お風呂が汚くなったからきれいにしましょう」「壁紙が汚れたから新しく張り替えましょう」というようなケースです。
一方リノベーションは、建物の構造体や躯体は利用するものの、まったく違う空間をつくりあげます。時には新築以上の価値を生み出すことも可能です。たとえば昔の団地型の間取りに、「田の字型プラン」といわれるものがあります。平面が田の字型に割れていて、和室が3つとダイニングキッチンがある間取りをイメージするとわかりやすいでしょう。
30年ほど前の日本の住宅政策では、個室の確保が第一だったため、このような間取りが一般的でした。しかし子どもが大きくなって出ていけば、そこに住んでいた家族はその間取りでは暮らしにくくなってきます。そこで壁を取り払ってしまい、広いワンルームに変身させるというのもリノベーションの一例です。
いまの20代、30代は住環境へのこだわりが強く、既存のマーケットにはない住宅を求めている人が増えています。自分たちの生活に合った部屋に住みたいけれど、新築でそれをやるにはお金がかかります。リノベーションなら、より安価に実現できるのです。
リノベーションのもう一つのメリットとしては、「自分の好きな街に住める」という点があります。特に東京の場合、地価が高いため、新築にはなかなか手が出せません。しかし中古であれば、山手線の駅から歩いて5分の場所で自分らしい暮らしを手に入れることができます。しかも新築に比べて費用は安くなりますから、そのぶんをリノベーションに回して、好みに合った空間をつくることができます。