間取りを決めるときは、次の手順で考えてみてください。まず「ここがイヤ」という現状への不満や「こうなっていたらいいな」という希望を洗い出します。

たとえばよくあるのが、「夫と同じ部屋に寝ているが、イビキがうるさくて眠れない」という妻の不満です。かといって別々の部屋で寝るのもはばかられる。そんなときは、いま使っている寝室を広げてベッドとベッドの間隔を取り、間を薄い家具で仕切るのも一案です。「ほどよい距離の寝室」が生まれます。

次に、家のなかの動線を検討します。たとえば洗濯機と物干し場が遠く離れていたら、濡れた重い洗濯物を持って家のなかを移動しなければなりません。リフォームはこのような家事ストレスを解消する絶好の機会でもあるのです。

同じ6畳間であれば、下図のように1.5畳と4.5畳に分けて使用するほうが使い勝手がいい。

「収納を増やしたいが、部屋が狭くなるのが心配」という声もよく聞きますが、それもやり方次第です。たとえば茶だんす、カラーボード、電話台、ダイニングテーブルが置いてある6畳のキッチンと、何も家具がなくて真ん中にダイニングテーブルだけが置いてある4畳半のキッチンとでは、後者のほうが圧倒的にすっきりと広く見えます。

一つの部屋に、高さも奥行きも材質も色も違う家具がバラバラに並んでいると、雑多で狭く感じられるからです。それなら思い切って6畳の部屋に1.5畳分の壁面収納をつくることをお勧めします。棚を閉めれば中は見えないし、想像以上に広く感じられます。掃除がしやすいという利点もあります。家具と床の隙間が生じないので、たとえばお掃除ロボットの「ルンバ」を置いておけば、すみずみまで勝手に掃除してくれます。

間取りに関しての注意点といえば、あまりにも細かくつくり込んだリフォームをしてしまうと、時間の経過とともに住みにくくなるおそれがあることです。子どもが小学生のころは子ども部屋があったほうがいいけれど、夫婦2人きりになったら、「元子ども部屋」は単なる物置と化してしまう。

生活スタイルの変化とともに、必要な間取りや部屋数も変わってくるものです。そのたびに壁を壊したり、新しくつくったりしていたら大変ですし、お金もかかります。最初からフレキシブルに間取りを変更できるようにしておくといいでしょう。マンションであれば、簡単に間仕切りが動かせる物件もあります。

あるいはリフォームのときに、将来の間取りの変更を可能にしておくのも手です。具体的には、可動式の家具でスペースを仕切るようにしておきます。たとえば子ども部屋を2つに分けるときは、部屋の両壁に収納をつくって真ん中を壁で分けるのではなく、真ん中に収納をつくり、両側から使うようにします。

子どものうち一人が家を出ていったら、収納を片側へ寄せてワンルームにできますし、家具を分解して運べるようにしておけば、引っ越しても次の家にも付けられます。そうすれば無駄もなく、使いやすい家が実現するはずです。

※すべて雑誌掲載当時