口呼吸との関連が指摘されている症状は多岐にわたっており、ご紹介した症状はそのうちの一部です。特にアレルギーなどの免疫異常に関連する症状は、口呼吸が関係するとは思いもよらなかったのでないでしょうか。
口呼吸そのものは病気ではありませんが、口とは離れた臓器で起きる病気の原因となることは、ぜひ知っておいていただきたいと思います。こうした病気は「病巣疾患」などと呼ばれており、口呼吸と関連するさまざまな疾患は、この病巣疾患に該当するものが多いのです。
子供の骨格にも影響
子供の口呼吸は、骨格に与える影響も大きくなります。顎の成長は12歳くらいまで続きますが、その大部分は6歳くらいまでに成長が完了してしまいます。顎の成長途中の幼少期に口呼吸になることで、次のような影響が生じます。
・開咬(上下前歯の間に隙間が空いてしまい、噛み合わない)
・前歯が突出してしまう
・下顎が後退してしまう
・面長な顔になる
口を閉じている時の理想的な舌の位置は、上顎にぴたっと密着している状態とされています。対して口呼吸で口が開いていると舌の位置が下がり、歯並びに影響を与えます。
歯科医に相談し、舌の位置や呼吸の改善を
例えば、舌で歯を押している状態だと出っ歯になったり、上下前歯の間に舌があると歯と歯の間に隙間が生じてしまったりします。口を閉じている場合は上顎、下顎で舌を押さえる力がかかるはずなのですが、口が開いていると力がかからないので、顎の筋肉が発達せず顎が小さくなる可能性があります。また、舌が下がると、下顎に力がかかり続け、面長になるなど顔面の骨格にも影響が出てきます。
骨格・歯並びは見た目だけの問題ではありません。歯並びが悪いと、虫歯や歯周病のリスクが上がりますし、発音がしづらくなる可能性もあります。噛み合わせや骨格の悪さは全身の筋肉バランスにも影響するため、頭痛や腰痛をはじめとしたさまざまな不調の原因となることもあります。
顎が成長途中の子供は、口腔筋機能療法(MFT)で舌の位置や口呼吸を改善させることができます。MFTは口周りの筋肉をトレーニングする療法で、子供の場合は歯並びや骨格を正す効果も見込めます。子供の口呼吸が気になる場合には、歯科矯正を行っている歯科医院に相談することをおすすめします。