人気ある最終商品の創造が欠かせない
さらに踏み込むと、わが国は世界から必要とされる新しい商品を生み出さなければならない。それが、新しい半導体の需要を生み出す。TSMCが米国で次世代チップを生産する要因の一つとして、アップルのイノベーションは大きかった。iPhoneは世界経済のデジタル化を加速させ、半導体需要を急増させた。わが国が半導体産業の再興を目指すためには、そうしたヒット商品=人気ある最終商品の創造が欠かせない。
もしそうした取り組みが遅れれば、わが国の半導体産業の競争力向上は難しくなるだろう。それは、わが国経済の実力低下に直結する問題だ。中国共産党政権は米国の制裁に対抗して先端分野への支援を強化し、半導体自給率の向上を目指すはずだ。そうした展開を念頭に、中長期的に米国は半導体産業などへの支援策を強化するだろう。
長期の視点に立って戦略物資として重要性が高まる半導体をはじめ新しい産業を育成できるか否か、これまで以上にわが国の産業政策の内容と各企業の取り組みが問われ始めている。