藤川太のアドバイス
一般に高収入家庭ほど家計管理が甘くなり、赤字補てんをボーナスに頼るケースが目立つ。そのためボーナス削減が家計破たんの引き金になることが多いのだが、“幸い”なことにBさんの会社は年間2カ月分と最小限しか出さない(出せない)ために、ボーナスに頼らない家計ができている。
例えば住宅ローンの返済プランの設計。マイホームは買ったばかりでまだ2000万円の住宅ローンが残っているが、返済方法は「月々の返済」のみで「ボーナス併用払い」を選択しなかった。おかげでボーナスは預貯金や帰省の費用に充てることができた。住宅そのものも体力に見合った3000万円弱の新築マンションを、充分に頭金を入れて購入したために、年間返済額(90万円)が額面年収(500万円)の18%にとどまっている。住宅ローンは、年間返済額が額面年収の30%を超えるとかなり苦しい。そこで多くの人は金融機関などのアドバイスにより当初は30%以内に納まるプランをつくる。ところが減収という予想外の事態によって30%を超えてしまう家庭も少なくない。そうなると家計破たんまっしぐらだ。
Bさんが、かなり余裕のある18%に抑えたのは「意識的ではなく感覚的なもの」だという。家計簿がしっかりつくってあるから、「この費目を増やすとバランスが崩れる」ということが自然にわかるのだろう。
維持費がかかる車は持たず、必要なときはレンタカーで済ますという割り切りもいい。子どもが2人いて被服費もかかるが、妻が不要な服を友達と交換して着回しして節約している。自分たちが着る服はユニクロやしまむらで充分。
家族で過ごす時間もたっぷりとっているが、テーマパークのようなお金のかかる場所には滅多に行かない。まだ子どもが小さいし、Bさんの目的が子どもたちと遊ぶことなので、自転車に乗って河原にピクニックにでも行けば、充分楽しめるからだ。