体幹の強さや関節の柔軟性は、昔なら木登りをしたり、校庭の遊具で遊んだりする中で身につけることができた。
子どもたちがハードルを跳ぶのにも大きな苦労を味わうのは、幼少期に外遊びを奪われた影響なのだろうか。
バーが高い位置に設定されたハードルは、授業では使えない。
生徒がバーに足を引っかけると、うまく受け身が取れずに、危険な形で転倒してしまうからだ。
バーが真ん中から2つに割れるハードルでなければ、授業に不安を感じるという。
「だるまさんが転んだ」ができない
ある動作の途中で、別の急な動作ができないのも、近年の生徒に多くみられる傾向だと長正氏は危惧する。
例えば、走っている途中で急に止まることができない。
昔の遊びでいえば「だるまさんが転んだ」と鬼役が振り向いたときに、急停止ができず、踏ん張れずに転んでしまうそうだ。
「なんで? と思うことが、当たり前のように起こっている」のがいまの中学校体育の現場だという。
表現は適切でないかもしれないが、「運動音痴」といえなくもない。
このような兆候は、震災の少し前からあり、長正氏の実感では「2015年あたりから顕著になっている」という。