ファイルはフォルダ管理でき、複数の人間が共有して閲覧したり加工したりすることもできる。

「ファイルがお客様から届くと、iPhone経由で私がチェックして、九州のスタッフにも見てもらえる。遠距離でもスムーズに業務が進められるんですね」

一方で、特定の相手にしか閲覧できないようアクセス制限することもできるので、情報漏洩の心配がない。

誰がいつ閲覧したかという履歴、いわゆる「足跡」がひと目でわかる機能も営業に大きく貢献した。

「土日や夜遅くにアクセスされていると、ああ、自宅に帰られてからもこまめに資料をチェックしていただいているんだとわかるんです」

いざ商談となったとき、そんな話を少し織り込むことで、コミュニケーションもぐんとスムーズになった。

ドロップボックスを知る前は、顧客への資料持参の際などにUSBメモリを使用。

09年、出張の回数を減らせという指示があり、山下さんが九州に赴くのも2カ月に一回程度、以前の半分になった。しかし、プロジェクトは滞りなく終えることができた。

三十代前半は目の前の仕事に追われ、不安になる暇もなかったという山下さん。しかし、ここ数年、最新ITツールを駆使するようになってから仕事の効率が上がってきた。

「ビジネス関係のスクールに通う時間もできました。グループでプレゼン資料を作成するときもドロップボックスでやり取りしています」

そんな噂を聞きつけてか、ITに弱い上司から、ツールの使い方を尋ねられるようになったという。