「出産祝い金」「給食費無料」は的外れな施策
2014年に出版された『地方消滅』では、全国の市区町村別の将来推計人口を、自治体の若年女性人口の減少率から推計していた。その自治体に若年女性が一定数いれば子供も生まれて自然増があり、人口減少も抑えられる。この本の結論は、「若い女性が出ていく地方は消滅する」ということだ。しかし、若い女性が地方から出ていく原因を十分に分析していない。
また『地方消滅』で「消滅可能性が高い」と指摘された自治体は、その後どんな努力をしてきたのだろうか。「子育て支援」という名目で、出産祝い金を出したり医療費や給食費を無料にしたりする施策をしてきた自治体が多いが、これは全くもって的外れな施策である。
なぜならば、若い女性が地域にとどまる、もしくはUターンするためには、まず地方で若い女性が働く場がなければならないからである。すなわち若い女性たちにとっては、「子育てよりも、まず働く機会があるかどうか」が問題なのだ。その時点で若い女性が都会で働くことを選んだら、そのまま都会で働き結婚することになるだろう。このことを勘違いしている自治体関係者や地方議員が多いと思う。
そして女性たちは、活躍したいのでもなく、輝きたいのでもなく、「普通に男女平等な職場で働きたい」ことを理解すべきだ。