※本稿は、森永康平『大値上がり時代のスゴイお金戦略』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
物価動向で注目すべき「3つの指数」
モノの値段が上がっています。実際に筆者も買い物をするときに体感していますが、やはりデータを見て実態を確認しなくてはいけません。
私たち消費者が購入するモノ(財)やサービスの値段の変化を知るために用いられる経済指標に「消費者物価指数(CPI)」があります。総務省統計局が毎月発表しているもので、生鮮食品などをはじめとする食料品や、エアコンなどの家電製品、クリーニング代や通信料のサービスなど582品目にわたる幅広い価格データをもとに算出する物価指数です。
この消費者物価指数が発表される際、3つの指数が注目されます。物価全体を表す「総合指数」「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」というものです。
なぜ、生鮮食品やエネルギーの価格を除いているのかというと、台風や干ばつなどの天候要因で価格が大きく変動してしまう生鮮食品や、地政学リスクや投機資金の流出入など実需以外の要因によって価格が大きく変動してしまうエネルギー価格の影響を除くことで、物価動向の実態をより正確に把握することができるからです。
グラフで一目瞭然、歴史的な上昇率
それでは、最新の消費者物価指数のデータを見てみましょう。執筆時点で最新のデータにあたる6月分の消費者物価指数は「総合指数」が前年同月比+2.4%、「生鮮食品を除く総合」が同+2.2%、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が同+1.0%となっています。
普段から消費者物価指数の変化率を見ていないと、2%という数字がどれほどのものかは分からないと思いますが、グラフを見れば物価が上がっていることは一目瞭然でしょう。それでは、どれぐらいの物価上昇なのかというと、「生鮮食品を除く総合」の同+2.2%というのは消費税増税の影響を除くと13年9カ月ぶりの上昇率です(※)。
なぜ消費増税の影響を除いたのかというと、消費者物価指数には増税の影響が反映されてしまうため、消費増税をすると物価は上がってしまいます。これは税制変更という特殊要因で物価が上昇したにすぎないため、その影響を除いて考えるのです。
(※編集部注:10月に発表された9月分の消費者物価指数「生鮮食品を除く総合」は前年同月比+3.0%の上昇で、消費増税の影響を除くと31年1カ月ぶりの上昇率)