「生活必需品」の上昇率は+4.4%

もうひとつの分析は、品目を「基礎的支出項目」と「選択的支出項目」に分けて物価上昇率を確認するものです。少し難しそうな言葉ですが、分かりやすさを優先してざっくりと言い換えれば、「生活必需品」と「ぜいたく品」と言ってしまってよいでしょう。前者の物価上昇率は前年同月比+4.4%、後者は同+0.2%となります。

生活必需品は値段が高いから買わない、という選択はしづらいですから、物価上昇をダイレクトに実感します。そうなると、やはり私たちの実感5%ぐらいの物価上昇といえそうです。

経済指標は必ずしも私たちの実感とは完全に一致しないものの、このように内訳まで細かく見ていくことで、少しは実感に近くなることがあります。余力がある方は経済指標の解説記事を読むだけでなく、自分で生のデータをダウンロードして、内訳まで確認する習慣を身につけましょう。

企業物価指数はどう変化しているか

これまで主に値上がりと円安について身てきましたが、値上がりについてもう少しだけ深掘りしてみましょう。

値上がりの指標として消費者物価指数(CPI)に着目してきました。消費者物価指数は名前の通り、私たち消費者が購入するモノ(財)やサービスの価格の変動を確認するための経済指標です。国内経済には政府、企業、家計という3つの経済主体が存在しますが、つまり家計における物価の指数といえます。それでは、企業の間でやり取りされるモノの価格の変動を表す経済指標はあるのでしょうか。

消費者物価指数が総務省によって毎月公表されているように、「企業物価指数」というものが日本銀行によって毎月公表されています。消費者物価指数は品目別など内訳のデータが細かく提供されていますが、企業物価指数も同様に内訳のデータが細かく提供されています。

ここまでインフレや円安について見てきましたから、企業物価指数の各種データのうち、まずは「国内企業物価指数」と「輸入物価指数」の推移を確認してみましょう。