「時間術でパフォーマンスが上がることはほとんどない」

この分類にもとづき、すべての時間術の効果を分析したところ、結論は次のようなものでした。

●時間術と仕事のパフォーマンスには「r=0.25」の相関しかない

“r”は2つのデータにどれぐらい深い関わりがあるのかを表す数値で、ここでは時間術と仕事のパフォーマンスの関係を示します。数字が1に近いほど両者は関係があるとみなされ、このデータで使われた分析法では、0.5以上の値を取れば「大きな関係がある」と判断されるのが一般的です。

たとえば、ビールの販売量と気温の関係を調べると、たいていは「r=0.78」ぐらいの大きな数値が出ます。暑い日に冷たいビールを飲みたくなるのは当たり前ですが、それだけに効果量も高くなるわけです。

その点で、0.25という数値は微妙なラインで、「時間術でパフォーマンスが上がることはあるが、効果を実感できない場面が非常に多い」レベルだと考えられます。

ここで言う仕事のパフォーマンスは、上司による業績評価、仕事へのモチベーション、作業へのコミットメントなどで測定しており、これらの指標に対して、時間術ははっきりした意味を持たないことになります。

目覚まし時計でジャグリングをするビジネスマン
写真=iStock.com/SIphotography
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人生の満足度は上がる

さらにチームは、こんな結果も示しています。

●勉強のパフォーマンスに使うと時間術の効果はさらに低くなり、学校のテストの点数や成績アップは期待できない

●時間術がもっとも効果を発揮するのは「人生の満足度」で、仕事のパフォーマンスよりも影響度が大きい

時間術というと、大半の人は日々のタスクのパフォーマンスアップに使うでしょうが、実際にはさほどの効果を得られず、メンタル改善のメリットのほうが大きいわけです。