「ローカル線の廃止」容易ではない理由

利用者が大きく減少したローカル線を廃線にできるのか。

じつは、これも簡単なことではない。国鉄時代から、あって当たり前のインフラとして扱われており、高校生の足として一定の役割を担っているからだ。

鐵坊主『鉄道会社 データが警告する未来図』(KAWADE夢新書)
鐵坊主『鉄道会社 データが警告する未来図』(KAWADE夢新書)

少子高齢化で悩む地方自治体にとって、高校生の通学手段の維持は非常に重要である。しかし、子どもの数は減少する一方であり、地方ではその傾向がとくに顕著である。それゆえ、高校生の通学手段というだけでは、鉄道を存続させる理由としては弱い。

では、バス転換で解決できるかといえば、それも簡単ではない。なぜなら、JRの路線に対して自治体が運行費用を負担する必要は基本的にはゼロなのに対し、バスに転換すると、運行経費の補助が必要となるからだ。

限られた予算しか持たない小さな自治体の場合、バス転換で必要になる運行経費の負担がたとえ年間数千万円であっても、無視できない金額である。

高齢者に必要なのはオンデマンドタクシー

鉄道やバスは、高齢者の移動手段として必要だという意見も聞かれる。確かにその側面は否定しないが、「運転できる限り、クルマを手放さない」という高齢者も多い。

考えてみてほしい。駅まで歩いたり、雨や雪の日にバス停でバスを待つのは、高齢者には辛いものがある。ドアツードアで移動できるクルマは、高齢者にこそ必要な乗り物ともいえる。

地方に住む高齢者の免許返納が都市部ほど進まないのは、やはりそうした理由が大きいのだろう。筆者は、高齢者に必要な公共交通は鉄道やバスではなく、オンデマンドタクシーが最適であると考える。

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