個人事業主は頑張った分だけ稼げる

②「個人事業主(自営業者)」も自分の時間、自分の労働力をお金に換える。そこは「労働者」と同じだ。個人事業主であることのデメリットは、まずなによりも労働者に比べて収入が安定しない点だ。毎月決まった収入が保証されているわけではない。でもそのデメリットは、メリットと裏腹である。

個人事業主であることのメリットは、自分の仕事のクオリティが金銭報酬としてダイレクトに返ってくることだ。がんばって働いて成果(売上)をあげればあげるほど、それに比例して収入が増える。

約束された毎月の収入はないが、自分が稼ぐことのできる金額にリミットはない。個人事業主は収入不安定のリスクをはらむ代わりに、やり方次第でいくらでも稼げる。

自宅でポッドキャスト制作をする人
写真=iStock.com/visualspace
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③「経営者」とは「労働者」を使い、自分の手持ちのお金をスケールアップさせようとする人のことだ。自分が雇った従業員たちの時間や労働力を、シナジーとレバレッジを利かせながらお金に換えていく。

経営者であることのデメリットは、雇用を抱えることの負担だろう。つねに従業員に給与を支払い続ける責任を負う。オフィスを構えるのであれば、人件費に加えて、家賃、光熱費、機材のリース料といった月々のコスト(固定費)も発生する。業種によってはかなりの設備投資も必要になる。ようするにタフな資金繰りがずっと続く。

でもそのぶん、経営者であることのメリットはデカい。かりに1日8時間働く従業員を10人雇っていれば、経営者は1日80時間分の労働力を保持していることになる。つまり、短期で大きな金額を動かすことができる。大きな金額を動かし、大きなリターンが得られれば、自分のビジネスをさらにスケールアップさせることが可能だ。

成功すればその収入はとうぜん、「個人事業主」とは比べものにならないくらい大きくなる期待値を含んでいる。

お金持ちになって行動の選択肢を増やしてみたい

④「資産家(投資家)」とは、お金をお金に換える人のことだ。お金でお金を増やす人のことだ。自分やだれかの労働力を差し出すのではなく、自分のお金を株式市場や企業に対する資本として経由させて増やす。つまりお金自体に働かせる。

株価が下がったり、出資した企業が業績不振におちいったりすれば損をする。そのリスクを取る見返り、リターンとして収入を得る。超富裕層(世帯の純金融資産保有額が5億円以上)、富裕層(同じく1億円以上5億円未満)といった、いわゆる大金持ちになるには、株式での資産運用が不可欠だと言われている。

工場に勤めていたときの僕は「労働者」だ。自分の時間、自分の労働力をそのまま切り売りしていた。となると月収100万円なんて絵に描いた餅だ。「労働者」ではお金持ちにはなれない。

もちろんお金がすべてじゃない。お金はあくまでも手段だ。夢や目標をかなえる手段にすぎない。でもお金は自由度を拡げてくれる。行動の選択肢を増やしてくれる。だから僕はまずたくさんのお金を手にしてみたかった。

その日、ファミレスでその経営者の話を聞いた前と後で、僕は別人になった。大げさに言っているのではない。見慣れたいつもの町並みが輝いて見えた。苛立ちも迷いも消えていた。僕に「経営者」は無理だ。元手がない。「資産家」も同様だ。僕は「個人事業主」として生きる。競争に勝ち、お金を稼ぎ、有名になる。そして世界を変えてやる。そう心に誓った。