「アンド」が「ン」になり、とうとう聞こえなくなる

たとえばandは、決して「アンド」ではなく、実際は「ン」と発音されています。さらにその「ン」すら聞こえなくなった例として、ham and eggs「ハム・ン・エッグ」が「ハムエッグ」に聞こえたし、cut and sewn「カット・ン・ソーン」が「カットソー(長袖のTシャツ)」に聞こえてしまったんです。「ン」と発音するandが、もはや聞き取れなかったんです。

とかくリスニングになると「聞こえないからダメ」と思わされてしまいますが、andのように、「聞こえない」どころか「最初からそうは言ってない」ということがよくあります。

この発音を「弱形」といいます。ぜひこの「弱形」をマスターしてください。リスニングの世界が劇的に変わるはずです。弱形は基本単語にしかありませんから、少し努力するだけで、あっさりマスターできます。

(3)「速い」のではなく「短い!」という事実

「倍速で聞けば普段の英語が遅く聞こえる」と聞いたことがあるかもしれません。ただ、やみくもに速く聞いても、リスニングはできるようにはなりません。

実は、英語は「速い」のではなく「短い」だけなんです。

先ほどのandを考えてみてください。「アンド」ではなく、本当の発音(弱形)は「ン」でしたね。「アンド」→「ン」になっているので、「発音する時間は3分の1」に、言い換えれば、3倍速で発音されているように感じるだけなんです。発音が「短い」から、しゃべる時間も短くなる。それを「速い」と錯覚してしまいます。だからこそ弱形をマスターすることが大事です。

耳に手を添えて聞く人
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長文の教材を何度も聞くことで「英語の体内時計」ができる

リスニング練習で、受験生に普段からやってほしいことは「長文の教材でリスニング」です。

僕がこれをオススメする理由は、「リスニングの勉強を通して、リスニング力はもちろん、長文の力・スピードが劇的に上がる」からです。この方法では、音声がついた教材を使用します。それを使って徹底的にリスニングします。長文の教材を何度もリスニングすることで、レベルの高い英文を頭の中で「英語のまま処理する」能力が養われます。

つまり、音読でやっている「英語アタマ」を、今度はリスニングでやっていくわけです。これによって「(日本語に直さずとも)英語のまま理解できる」ようになり、読解スピードが上がります。

おまけに、リスニングは「返り読みできない」ですし、ある一定スピードで強引に進んでいくわけです。このスピードを頭と体に染み込ませることで、たとえるならメトロノームやマラソンのペースメーカーのように「英語の体内時計」が埋め込まれます。これで「試験時間内に長文を読み終えるスピード」が身につくわけです。