しかしトルコ中銀は、利下げこそが物価の安定につながると主張してはばからないエルドアン大統領の意向をくみ、8月以降、利下げを進めている。
高インフレにもかかわらず利下げを行い、それが通貨安を促して、さらにインフレを加速させるという悪循環にトルコは陥って久しい。中銀の政策姿勢が変わらない限り、リラの上昇が見込めない。
そのトルコで、実は株式市場が活況に沸いている。トルコを代表する株価指数であるイスタンブール100は、今年の取引開始日となる1月3日の終値が1926.66であった。
それが9月30日の終値は3179.99に達し、9カ月間の上昇率は実に65%に達した。直近10月17日の終値は3847.62と、株価はさらに上昇している(図表1)。
日本株は1割、欧米株は3割も下落しているが…
米国を代表する株価指数S&P500指数は年初から9月まで33.8%下落した。欧州のユーロ・ストックス500も30.1%下落している。日本のTOPIXは10.5%下落と、その幅は米欧に比べると小さいが、いずれにせよ下落している。
グローバルな株価の下落にもかかわらず、イスタンブール100は70%近い上昇率を記録しており、驚異的である。
為替調整後の株価で評価しても、トルコ株の堅調ぶりが目立つ(図表2)。
ブルームバーグより為替調整後の主要株価の上昇率上位10傑を確認すると、商品市況の上昇を追い風とする資源国を引き離して、イスタンブール100が堂々と首位に立っている。
この間に進んだリラ安の影響を除去しても、トルコ株は堅調に推移したわけだ。