政治家は未来に何をするかで判断すべき

【ひろゆき】ただ、「教団と関係を持っているから、この政治家はもうダメだ」ではなく、関係を持っているとしても、旧統一教会を規制しようとしているのなら支持してもいいと思うんですよね。

【エイト】そうなんですよ。

2005年の第3次小泉改造内閣で内閣府特命担当大臣に就任した猪口邦子議員は、ジェンダーに固執する少子化・男女共同参画担当大臣として教団からかなり攻撃されていたんです。その猪口議員でさえ、先日公表された自民党の調査結果に名前が挙がっていますからね。

【ひろゆき】だから、接点のある人はたくさんいるけれど、それよりも未来に対して何をするかで政治家を判断すべきだよね、という方向にしないといけないですよね。

自民党がダメだよねと言っても、教団と関係を持っている政治家は立憲民主党はじめ野党にもいますからね。接点があるからすべてダメとしてしまうと共産党ぐらいしか選択肢が残らなくなってしまう。

むしろ、「日本にとってやるべきだと思ったことはやります」という政治家は、たとえ過去に接点があっても別にいいと思います。

【エイト】自民党であれ野党であれ、濃淡で言うと“淡い”関係のある政治家はたくさんいるので、その人たちは別に追及する必要もないのかなと思っています。自民党の点検リストに名前が挙がっていない政治家も当然いるだろうけど、そんなのはどうでもいい。

【ひろゆき】そうなると、やっぱり河野さんがどれぐらい頑張れるか、によるのかもしれないですね。

【エイト】そうですね。河野大臣は応援したいです。もし河野さんが前回の自民党総裁選で勝っていたら、今どうだったかなと思うんです。河野さんが首相になっていたら、茂木幹事長がやっているような、こんなレベルの調査で納得するのか聞いてみたいですね。

【ひろゆき】でも、もし河野さんが首相になっていたら、はたして山上容疑者が事件を起こしていたか。

【エイト】だとしたら、僕もこんなにメディア出ることもなかっただろうし、旧統一教会も粛々と生き残り続けたかもしれません。教団にとっては、むしろそのほうがよかったという話になりますね。

宗教を規制の対象にしないほうがいいワケ

——旧統一教会の規制に関しては、フランスの反セクト法のようなカルト規制を日本でも作るべきだという意見もあります。

【ひろゆき】フランスの反セクト法は、宗教や教義などには触れずに、社会に危害を及ぼす組織的な違法行為をした団体や個人を罰する法律なんです。だから、暴力団対策法に近いと思うんですよね。

【エイト】みかじめ料の要求や不当な方法での債権の取り立てなど、個々の行為から攻めていきますもんね。

【ひろゆき】社会的にやってはいけない行為をしている団体は反社会的集団に指定して、代表者も取り締まりますよ、というのが暴力団対策法じゃないですか。なので、たとえ組織の末端であっても違法行為をしているのなら、組織全体をアウトにしますよとして、宗教という概念とは切り離した形で反セクト法で対応するほうが、通りやすい気がします。

【エイト】それは、まったく同じ意見です。

【ひろゆき】今、旧統一教会やカルトが広がっているのは、生活に困っている人や不安な人たちを受け入れる余地が、仏教や神道といった伝統的な宗教になくなってしまったことに問題がある気がしています。

鈴木エイト『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)
鈴木エイト『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)

やっぱり誰かに頼りたいと思っている人っているんですよね。フランスだと、ご飯が食べられない人は教会に行くと炊き出しとかをやっていて食べさせてもらえるんです。

でも今の日本では、本当に困った時にここへ行けばなんとかなるよねという場所が、役所がやろうとはしているんですけど、あまり機能していない。結果的に、カルトの優しい人たちがご飯を食べさせてくれて、住まいも提供してくれるという状況もあったりするので。

そこは本来、神社やお寺とかがやってくれたほうがいいと思うので、カルト規制によって既存の宗教団体まで規制の対象にするのは、また違うのではと思っています。

【エイト】確かに、そうですよね。