政治家と旧統一教会との“接点”は問題の本筋ではない。ジャーナリストの鈴木エイト氏とひろゆき氏は、それよりも重要なのは、苦しんでいる2世信者をいかに救うか、カルトにハマってしまう人たちをどう減らすかだと指摘する。旧統一教会問題の急先鋒の二人が、第二の山上容疑者を生み出さないために日本がすべきことを語る――。(第6回)

※本記事の情報は対談を収録した2022年9月9日時点のものです。

ひろゆきが2世信者と話して感じたこと

【エイト】以前、ABEMA Primeで旧統一教会の2世信者と話した時に、ひろゆきさんは次から次に質問をしていましたよね。

【ひろゆき】2世信者と話す機会はそうそうないので、興味深かったです。

【エイト】知識欲が、すごいんでしょうね。

【ひろゆき】ほかの宗教にハマっている知り合いもいるので、その人と共通する部分と違う部分の境界って、直接話を聞いてみないとわからないじゃないですか。それで、番組で実際に聞いた限りでは、すごく特殊な宗教にハマっているという印象はあまりなくて、普通の宗教にハマっている人という感じでした。

【エイト】番組内で2世信者の子たちも結構たくさん話をしていたと思うんですけど、放送後に様子を見ていたら、話し足りなかったと言っていました。

【ひろゆき】思っていることを言語化するのが、そんなに得意ではないタイプだった気もします。

【エイト】そうですね。何か聞かれて、それをすぐパッと答えられる感じではなかったですね。ひろゆきさんのように返すのは、天性のものがないとできないと思いますよ。

【ひろゆき】僕は何も考えていないだけです(笑)。

脱会信者救済の難しさ

【ひろゆき】旧統一教会に一度ハマったとしても、脱退したら普通に戻れるものなんですか? それともどこか影響が残る人もいるんですか?

【エイト】やはり多少あるようで、ちゃんとしたリハビリ施設に行って、そこでカウンセリングを受けたりしたほうがいいですね。そこでの生活がつらくて逃げた人は結構、影響が残ってしまうので、人生でつまずいたりした時にまた戻ってしまうんですよね。「旧統一教会から逃げたのがいけなかったんだ」と。脱会した信者を見ていると、「私にはダメージはない」と思っていても何かしらあるので、カウンセリングなどをきちんと受けたほうがいいと思いました。

【ひろゆき】「きちんとしたカウンセリング」って難しくないですか?

【エイト】カルト問題や脱洗脳とかに精通している人じゃないと厳しいですね。カウンセリングする側の能力の差もあるので。

【ひろゆき】そうすると、カウンセリングを受けたほうがいいけど、信用できるカウンセラーがどれだけいるのという問題が、今後は出てきますよね。

【エイト】いま2世問題が噴出していますが、それにしっかりと対応できる専門家の数は、まったく足りていないので。当然、イヤな思いをする2世もいるだろうから難しいですね。

【ひろゆき】関係省庁連絡会議などで、専門家のリストを作ったりはしていないんですか?

【エイト】日本脱カルト協会や、僕らがやっている相談会にはあります。そういうところは、きちんとしたガイドラインを作っていて、まずは相談を受ける側の教育をしなければいけないとは提言しています。ただ、労力的にもなかなか難しいので、やはり国や行政と連携していかなければ形にもならないし、継続できないですからね。

撮影=松永学(右)
鈴木エイト氏(左)とひろゆき氏(右)