破天荒なお金の使い方で話題を集めてきたYouTuberのヒカルさんは、普段どのような生活を送っているのか。ヒカルさんは「お金を湯水のように使うのはあくまでキャラクター。カメラの前では羽振りはいいが、普段は400円の牛丼で満足している」という――。(第1回)

※本稿は、ヒカル『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

YouTuberのヒカル氏
写真提供=徳間書店
YouTuberのヒカル氏

「やりたいけどできないこと」を動画にする

「キャラクター」「コンセプト」「ストーリー」僕はいつもそれを意識している。同時に、視聴者の具体的なニーズも探っている。ひと口にニーズと言っても相手によって違うし、世のなかのトレンドしだいでどんどん変わっていく。でも不変のニーズもある。つねに僕に求められている企画。それは「やりたいけど、現実的にはできないこと」、そして「知りたいけど、なかなかできないこと」だ。

実際に、その種の企画は爆発的にバズる。僕のキャラクターに合っているのだと思う。そうやってバズるたびに僕の知名度は急上昇し、ユーチューバーとしての大きなターニングポイントになってきた。

「ヒカル」の名をとどろかせた「祭りくじ」の動画

なかでもヒカルの名を一躍有名にしたのは、「祭りくじ」の動画だった。祭りや縁日の露店でおなじみの祭りくじ。その1等には最新のゲーム機などの豪華賞品が用意されている。でも、僕自身当たったこともなければ、当てた人を見たこともない。ほんとうに1等は入っているのか? 調査に乗り出すことにした。

実際に祭り会場に出向いた僕は、くじのA賞(1等)としてニンテンドースイッチの本体が飾ってある露店を見つけた。まず10枚引いた。ぜんぶハズレ。こんどは30枚。

かすりもしない。さらに手あたりしだいにくじを買っては開けていく。ハズレ、ハズレ、ハズレ。結局、13万円ぶん引いたがB賞すら当たらない。そのうち観衆が集まり、大きな騒ぎになってきた。そこでその露店の店主が登場。「ほんとうにA賞はあるのか?」と僕。「それはわからない。すでにA賞が出ているかもしれない」店主がみょうな理屈でとぼける。

A賞としてニンテンドースイッチがこれみよがしに展示されているのだ。もしA賞がすでに出たのなら詐欺だろう。おとり広告だ。さらに問い詰めたが、店主は要領を得ない言い逃れを繰り返すばかり。最終的に15万円ぶんのくじを引いたものの、A賞どころかB賞すら当たらなかった。この露店は子どもたちの大事なお小遣いを騙し取っているわけだ。悪質だ。祭りくじの闇である。