「エネルギー活用」で注目される北海道下川町
もちろん、長年の町おこし・地方創生の努力が実り、成長している自治体も数多くあります。
そうした自治体への移住なら、「限界不動産」をつかむリスクは低くなるでしょう。
伸びしろのある地域で、さまざまな活動に身を投じるのは、社会的にも有意義であり、個人としても生活の質の向上を実感できると思います。
北海道の下川町は、近年まちづくりの取り組みが注目されている自治体の一つです。
下川町は札幌から北に240キロ、人口わずか3700人という小さな町ですが、周辺自治体の地価が大幅に下落する中、下川町の地価は上昇の兆しすらあります。
約90%が森林に覆われ、65歳以上の人口が約40%ですが、森林資源を最大限に活用した町おこしによって、活気を取り戻しつつあります。
下川町は2004年に北海道で初めて「木質バイオマスボイラー」を導入しました。
残材や流木、端材などを燃やし、エネルギーとして活用できるようになり、公共温泉や幼児センター、育苗施設、役場周辺施設、高齢者複合施設等などの熱エネルギーの約40%をまかなっています。
下川町は寒暖差が60℃以上という厳しい気候ですが、これによって、年間1600万円もの燃料費の削減に成功。その分を幼児センターの保育料減額や、学校給食の補助、中学生までの医療費無料化、不妊治療費補助など、子育て支援事業に充てています。
その結果、UターンやIターンで移り住む若者が後を絶たず、2012年度には転入者が転出者を上まわり、人口減少に歯止めがかかったのです。
「写真の町」「半農半X」個性的な町づくりで伸びる地域
同じ北海道では、東川町の取り組みも注目が集まっています。
東川町の人口は1950年の1万754人をピークに減少が続き、1994年には7000人を割り込んでいました。
しかし、何もないことを逆手に取り、写真映えする風景をアピールして、「写真の町」として町おこしに成功します。
徐々に移住者が増え、2014年には42年ぶりに8000人を回復。2016年には人口増加率で北海道内2位となり、旭川市のベッドタウンとしての地位を確立しつつあります。
また、島根県の海士町は、一時は夕張市に続いて財政破綻が懸念されていましたが、農業と他の仕事を掛け持ちして自由に働く「半農半X」の推進などによって、移住する若者が増え、少子化に歯止めがかかっています。
地方移住を考えている方には、こうした「これから伸びていく地域」を優先的に検討されることをおすすめしたいと思います。