長谷川閑史●武田薬品工業 代表取締役社長。1946年、山口県出身。70年早稲田大学政治経済学部卒業後、武田薬品工業に入社。その後、ドイツ武田、タケダ・ヨーロッパに出向。95年米国のTAPホールディングス社長。98年医薬国際本部長、99年取締役、2001年取締役経営企画部長などを経て、03年より現職。経済同友会代表幹事。

11年2月に長谷川の肝いりプロジェクトで、タケダのグローバルな研究開発の拠点として、神奈川の藤沢市に完成した湘南研究所。山田はこの研究所を訪れるたびに、若い研究者たちに対して、研究者としての心構えやその使命を説く。研究というものはビジネスにつながってこそ価値があると。山田は、自らの“少々の成功”の要因を、医師であり、科学者であり、研究者であり、ビジネスマンであることだと自己分析する。

これは、医療プロ、新薬研究・開発のプロ、ビジネスのプロとして知識、経験を結集させないと、現代の医薬ビジネスを成功に導くことは難しいという意味だ。山田は、新薬開発に携わる科学者のモチベーションを、こうあるべきだと考える。

「ワクチンの創出、新薬の創出によって、何百万人の新生児が助かる」

「癌で苦しむ母を助けたいと思う、子どもの気持ちを想像する」

画期的な新薬の開発というのは、何十万分の一の成功確率ともいわれるほど、非常に困難で難しい仕事だ。科学者の中には在職中に新薬を一つも開発できず、定年を迎える人も数多くいる。だからこそ、「新薬開発を必ず成し遂げる」という高い意識を、常に持ち続けることが不可欠で、それなしには、新薬開発の高い壁を越えることはできないのだ。

(文中敬称略)

※すべて雑誌掲載当時