ウェイトを上げることもできる
平均的な人の1日は、主に自分の体重を操作することで成り立っている。日常生活に役立つ力を身につけたいとき、体重を使ったトレーニング以上に機能的なものがあるだろうか?
ソファで横になっているカウチポテトだけでなく、仰向けに寝てベンチプレスをやっているトレーニーも機能的弱者の国にいる。まじめな話、座ったり寝転んだりしながら体を激しく動かした最後の経験を思い出せるだろうか?(パートナーと一緒にいるときを別にしてだが……)
ボディウェイトエクササイズは、長い間、大衆向けのフィットネス文化の陰にいた。現代人のほとんどは、ランニングと水泳以外に自分の体を使って運動するようには育ってきていない。
ヨガとピラティスの爆発的な人気は、自分の体重を移動するエクササイズの価値を示す好例だが、それら単独では、総合的なフィットネスを開発する体系的アプローチにはならない。
ボディウェイトトレーニングをやることには、究極の財産であるこの体を自由に使いこなせるようになるという利点がある。筋力、パワー、筋肉と心肺機能における持久力、スピード、バランス、筋肉の協働力と柔軟性のすべてを開発できる。
そこに、良い食事と一貫性を加えると、より自由に動くようになっていく体と、それに続く新たな挑戦がどこまでも続いていく。
ボディウェイトトレーニングは、いつでもどこでもできるので、高価なジムの会員権が不要になる。とはいえ、のちほど紹介するエクササイズの中にはウェイトを上げることを生き甲斐にしている人たちにも価値を見出せるものがあるはずだ。
トロイの戦いに備えてアキレスが自分を鍛えたように――ボディウェイトトレーニングが最高の訓練法であることを古代戦士たちも知っていた――あるいは、ネイビーシールズやグリーンベレーが、戦地で敵と出会ったときに備えるようにトレーニングすることになる。
なぜ“それ”なのか? 単純な話になるが、機能する体をつくるからだ。
自由自在に難度を調節することができる
プッシュアップ、プルアップ、シットアップ……ボディウェイトエクササイズでは、できることは限られており、特定の筋肉を鍛えることができないと考えている人もいる。それは誤解だ。
体重を使えば、体の中にあるどんな筋肉であっても、そこにあることを知らずにいる筋肉であっても負荷をかけることが可能になる。鉛筆のような首を太くすることから、すねにある筋肉を使ってふくらはぎを丸くすることまでが視野に入ってくる。
ジムにあるマシンと違い、私が紹介するエクササイズは考え方一つで無限に変化させることができる。ウェイトリフティングで行う動作のすべてを模倣したり、難しくしたり簡単にしたりすることすらできる。
これからの人生を快適に過ごせるようになる機能的な体をつくり、さらに、それをどこまでも進化させたくはないだろうか?
たとえば、270キロの体重がある男性や70歳の高齢女性でも可能なプッシュアップがあり、それを詳しく紹介している。プランシェ・プッシュアップといった、プロのボディビルダーであっても死ぬほど練習しなければできないものも用意している。
私がつくった10週間プログラムには、ベーシックからエリートレベルまでの4つのフィットネスレベルに合わせたエクササイズが用意してある。そのため、どんな人もボディウェイトトレーニングに入門できる内容になっている。