産もうが産むまいが両親の愛情は変わらない

何より、私は両親の愛情と信頼が娘の選択に及ぼす影響についても、聞くことができた。私が子どもを産まないことにしたのにもかかわらず、わが子にこれほどまで信頼される親として生きていくことは本当に素敵だし偉大なことだと思った。

肩を組んで海岸を歩く母娘
写真=iStock.com/Dean Mitchell
※写真はイメージです

【スンジュ】母は先生なので忙しくて、父は警察官だったので早朝に出勤したり、帰宅できない日も多かったんですが、家事も2人で助け合っていて、時間ができると私たちをあちこち連れて行ってくれました。子どもが3人だったので、経済的にもすごくゆとりがあったわけじゃないですけど、やりたいことはできるだけやらせてくれましたし、「お前が努力すればなんでもできるんだよ」といつも精神的にも支えてくれました。2人は今も仲良く暮らしてて、私に子どもの問題も含めて一切干渉してきません。そういう両親のおかげで、自主的な人間として成長できたと思います。

※スンジュ 33歳。結婚5年目。外資系企業で海外営業を担当していたが、パートナーの海外赴任で現在は日本で暮らし、経営大学院に通っている。

【ソヨン】私がどういう選択をしても、つまり子どもを産もうと産まないとにかかわらず両親の私への愛情は変わらないって確信してます。もし産むなら喜んでくれるでしょうけど、それは、新しい存在がもたらす躍動感みたいなもので、産まないからと言って私への愛情が薄れるとか、がっかりするというようなことはないはずです。

※ソヨン 36歳。結婚11年目。弁護士。パートナーと2匹の猫とソウルで暮らす。

両親くらいの年齢になったときに私はどう思うのか

いつだったか、子どもを産まない友人と話したことがある。

チェ・ジウン著、オ・ヨンア訳『ママにならないことにしました』(晶文社)
チェ・ジウン著、オ・ヨンア訳『ママにならないことにしました』(晶文社)

「初めから子どもを産んで育てるのは大変だから、ある日5歳の子が現れたらいいのに」
「学校に入学した次の日とか、12歳ぐらいがいいかな?」
「思春期がくると大変らしいよね?」
「その次は受験地獄だからもっと大変じゃない?」

私たちの無駄なおしゃべりは「それじゃやっぱり私が老人になったとき30歳くらいになった勤め人の子どもが現れて面倒を見てくれたらいいな!」で終わった。もちろん私自身が30歳のときにどんな子だったのかを思えば、何の期待もしないほうがいいと思うが……。

実は両親はどう思っているのかわからないが、私は両親に私のような娘がいてよかったと根拠のない信頼を持っている。それから子のいない今は幸せだが、私が両親と同じくらい年をとったとき、私みたいな娘がいないというのは少しもったいなくもある。

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