【柴山】そしてこれも先生にとって大きな負担となっているのが、部活動の顧問。野球やサッカーなどのように、必ずしも先生が経験者ではないのに放課後の練習や休日の試合などで指導・引率をしなければならず、そうした時間も大きな負担。これを学校の部活としてではなく地域のスポーツ振興ととらえ、地域の各種クラブで経験のあるコーチなどに指導してもらう体制にするなども考えられる。いわば、部活動教育の外部委託化ですね。
先生の幸福度もアップするはず
【柴山】そうしたことを積み重ねていく改革をまず進めることが先決であり肝要だと思うのです。そのうえでなおかつ発生する残業代はきちんと支払えるような制度にする。つまり、その最後の段階でこそ「給特法の抜本改正」という伝家の宝刀を抜くべきだと思うわけです。そうすれば、先ほどの予算をかなり圧縮できることにもつながるし、何より、先生自身の働く上での幸せ度もアップするはずなのです。
――それでは給特法には抜本的な改正が必要なのでしょうか。その場合は、どういう改正が望ましいのでしょうか。
【柴山】もちろん、私も給特法の改正は不要だなどとは思っていません。ちょうどいままさに、文科省で再び、先ほど申し上げたような現場での改革がどの程度進んでいるかを調査することになっています。具体的には8月、10月、11月、全国の小中学校のうち各1200校、高校で300校というかなり大規模な本格的実態調査です。
その結果により、いよいよ伝家の宝刀を抜かねばならないという議論も必要になるかもしれません。その場合には、単に残業代を支払うという単純なものではなく、公立学校の先生は公務員ですから、他の職種の公務員との整合性も考えねばならないし、大きなテーマの議論になるでしょう。
(聞き手・構成=プレジデントオンライン編集部)