よいビジネスマンは「カネの匂い」がする
私自身、ビジネスマンとしての能力、人材を見極めるためには、「カネの匂いがするかどうか」も商社の経営者の選任基準の一つにしていました。とくに商社の営業マンとしても大切な要素です。
「カネの匂い」って、どういうことか。何をするにも「儲かっているか」「ナンボの話や」とお金をベースに考えることでしょう。
たとえば、役職について以来、ずっと変わらず儲けているかどうか。
新しい仕事をつくり出して、積極的に儲けようとしているかどうか。
どこから入ってきた金で、どこに使われているか、金の出入り口をしっかり把握しているかどうか。
すなわち、お金の管理をきちんとしているかどうか。
私はことあるごとに言っていました。
「ビジネスマンとしては、カネの匂いのしないやつはダメだ」
とくにトップに立つ人間は、この「カネの匂いがするかどうか」が重要です。
「お金は二の次。適当にやってくれ」
そんな社長が来たら、会社は早晩つぶれてしまうでしょう。
部下に発破をかけたものです。
「慈善事業をやっているんじゃないんだ。しっかり儲けなきゃダメだぞ!」
会社では、上に立つほどお金に無頓着どころか、徹底的にこだわり続けました。
お金の価値は生活レベルとともに変わる
「お金と幸福の関係」については、やっぱり古今東西で大きな関心事なんですね。収入の多寡と幸福度の相関関係については各国で調査がなされてきました。
年収800万円までは、収入に比例して幸福度が増えるものの、800万円を超えると、さほど幸福度は上がらない、という有名なアメリカの調査があります。幸福度が頭打ちになる金額が500万円という調査結果もあれば、1000万円という結果もあります。
だいたい幸福度のピークは、日本円にすると、年収700万〜800万円といったところが「相場」でしょうか。
こうした調査が示しているのは、「お金の価値は生活レベルとともに変わっていく」ということです。
年収300万円だったのが、400万円に増えた。その価値は、500万円から600万円に増えたときのものとは、同じ100万円でも違います。1000万円から100万円増えたときとは、もっと違うでしょう。
年収300万円のときだと100万円でも増えたら、家族みんなが喜んで、「今日はお祝いで、みんなで肉を食べに行こう」となるかもしれませんが、それが年収500万円となると、それほどありがたみは感じません。