また1999年7月、東京・新宿区で、時間雨量131mmというすさまじい集中豪雨で住宅地が冠水、地下室にいた男性が、水没した地下室に閉じ込められて死亡したことがありました。
この時、水圧で外階段のドアが開かず、エレベーターも浸水して動きませんでした。
「麻布十番」など高級住宅地も安心できない
東京・港区の麻布十番といえば芸能人なども多く住む、セレブに人気の街です。
ただ、麻布十番駅周辺は「後背低地」で、地下水位が高く、周辺地より標高も低いため、排水性も悪く、洪水などの水害を受けやすい土地です。地質も軟弱で地盤沈下の恐れもあり、地震動に弱いとされています。
東京・港区のハザードマップによれば、南青山、西麻布、白金台、溜池山王などの高級住宅街にも、2.0メートルの浸水が想定される地域があります。
ハザードマップで浸水可能性が示されていても、過去に浸水の履歴がないため、止水板などの防水装置を備えていないマンションも多数存在するのが現実です。
想定外のゲリラ豪雨の場合、2019年の台風19号で被害に遭った武蔵小杉のタワーマンションのように、排水管から水が逆流する可能性もあるでしょう。
むしろタワマンのほうが災害に強い
タワマンのような高層建築物は、基本的に地盤が強い場所か、十二分に基礎工事を行った土地に建っています。
そのため、仮に大地震が発生しても、液状化現象が起こるリスクは比較的低いと言われています。
東日本大震災において、埋め立て地の多い千葉県浦安市では液状化現象により大きな被害を受けました。その際、埋め立てた時期や工法によって、液状化が発生する度合いが大きく違ったといいます。
タワーマンションが建っている土地は比較的最近埋め立てられており、液状化のリスクは比較的低いということが分かっています。
また、現代のタワーマンションは制振・免震構造を備えています。
大きな地震の際、タワーマンションは大きく揺れるため、室内では家電が飛び回ったりして危険だと言われることがありますが、これは誤解です。
制振・免震構造を備えた高層建築は、揺れを受け流すようにゆっくり揺れるよう設計されています。もちろんまったく揺れないということはありませんが、「家電が飛び回り、ガラスを突き破る」といったことにはならないのです。
洪水リスクについても、前述の豊洲などは江東5区のなかでも比較的安全な土地です。
2019年の台風19号で被害に遭った武蔵小杉についても、排水管から水が逆流したり、浸水によって地下にあった電気設備が故障したことが大きな原因でした。その後、電気系統を地上に移すなど、対策が取られたという話もあり、その場合はむしろリスクが低下していると見てもいいと思います。
災害リスクの低い不動産を求めるなら、むしろタワマンを買うほうが安心かもしれません。