地球温暖化のウソは悪影響が発生しないが…

本書の第2章で解説しているように、「地球温暖化の原因は人間が出すCO2だ」というのは政治経済的な力学のみで維持されている「ウソの常識」である。

ただ、極端な話をすれば、CO2を減らしたところで地球への影響は微々たるものなので、それによるデメリットのほうもさして重大ではない。余計な金がかかることや、それによって一部の連中だけが大儲けすることは確かにデメリットではあるが、一般の人たちが直接的な被害を被るとまでは言えないだろう。店でレジ袋がもらえなくなる、くらいのことは起こるとしても、少なくとも命にかかわるようなことではない。

つまり、「ウソの常識」を前提にCO2の排出を意図的に減らしたとしても特段いいことが起きない一方で、深刻な悪影響も発生しない。まあ、それこそが「脱炭素キャンペーン」のやっかいなところで、可もなく不可もない分、多くの人たちが延々と騙され続けてしまう「持続可能なペテン」なのである。

しかし、医療や健康における「ウソの常識」の場合そうはいかない。一般庶民の健康に直接関わりのある科学が医学なので、それを信じた人たちの健康が害されたり、最悪の場合は命が脅かされてしまうこともあるからだ。

「高血圧」のウソは罪深く、看過できない

とりわけ罪深いと私が思っているのは、「高血圧」に関するウソである。

老化した血管は弾力を失うので、若いころより強い力で血液を送り出さなければ血流が保てなくなる。歳をとるにつれて血圧が高くなるのはこのせいで、つまり、血圧が高くなるのは、一種の老化現象なのである。以前は「上の血圧は年齢プラス90くらいがちょうどいい」ということも言われていたが、絶対的なものではなく、ただ血圧が高いというだけで医者に行くような人はいなかったと思う。

しかし、1978年に世界保健機関(WHO)が「160/95mmHg(最高血圧が160mmHg以上もしくは最低血圧が95mmHg以上)の人は高血圧である」と定義したことで、日本の医者たちもこれに従うようになり、血圧の高いことがあたかも「病気」であるかのごとく扱われるようになった。

そして2000年には、大学の医療研究者が委員を務める日本高血圧学会が、140/90mmHg以上とさらに基準を厳しくした。この時点で「高血圧症」とされる人は1600万人から3700万人に激増したのだ。