最大の牽引役となった学校向け事業

3つの事業の柱のすべてで利用者増が見られたが、中でも最大の牽引けんいん役となったのは学校向け事業だった。コロナ禍が発生して以降は、従来の学校単位に加え、山口県、愛知県、群馬県など自治体単位でもスタサプを導入する動きが広がる。2016年ごろには全国で1000校ほどにすぎなかった高校へのスタサプの導入は、2020年度には全国の高校の4割にあたる2000校ほどにまで拡大した。

教室
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

コロナ禍以前、高校向けのオンライン教育サービスについては、ベネッセとソフトバンクの合弁事業であるクラッシーが採用数で先行していた。スタサプはクラッシーと比較すると料金が高い。しかし、コロナ禍によってリモート学習がメインの学習機会となっていくと、質の高い授業動画が豊富だったスタサプの採用が伸び、クラッシーに迫る水準となっていく。

教育現場のニーズにきめ細かく対応

授業動画の質や数とともにスタサプの導入メリットとなったのが、現場の先生からのフィードバックをもとに開発された「到達度テスト」だ。

一般的な大手予備校などの模擬試験は、偏差値など全体の中での位置づけで生徒の学力を把握するには有効だが、個々の生徒がどの教科のどの単元でつまずいているのかを把握するためのテストではない。これに対してスタサプの到達度テストは、あえて基本レベルの内容に絞り、出題範囲を網羅的にすることで、個々の生徒がどこでつまずいているのかを的確に把握できるよう設計されている。

この到達度テストを活用することで、個々の生徒はスタサプが提供する膨大な講座のなかから、どの授業をどの順番で受講すればよいかを把握できる。さらに生徒の学習履歴や苦手分野に対応し、個別の宿題を配信・管理できる、先生向けの学習管理システムも開発。生徒一人ひとりの到達度に合わせた学びを実現するためのサポートが整えられている。

加えてスタサプは、営業担当者による先生へのフォローにも力を入れている。AO入試の受験者が多かったり、就職希望者が多かったりと、現場の事情は学校によってさまざまだ。そこで各学校に営業の担当者が付き、それぞれの学校に合ったスタサプの利用方法を伝えたり、授業の改善に役立つデータのフィードバックを行ったりしている。