売れていた商品だけを置き続けた結果顧客が高齢化した

【田中】数年前にライフスタイル部門、具体的には住居部門や衣料品部門を縮小した結果、中核である食料品部門の売り上げも下がってしまいました。そこでもう一度ライフスタイル部門に力を入れようと改革を行った結果、たまプラーザ店等では順調に上手くいっていますね。口でいうのは簡単ですが、実際に成功させるのは難易度が高いと思います。具体的に、どのような施策を行ったのかを教えてください。

【山本】私たちはもともと洋品店からスタートして衣料品が強いといわれていましたが、残念ながらその強みを2000年以降は活かせず、専門店に負けてしまっていました。その原因は内部課題にあったと思っています。これまで売れていた商品を踏襲し続けた結果、お客さまの年代が上がり、それ以外の世代の方は専門店に流れてしまった。気付いたらシニア層のお客さま向けばかりの品揃えになってしまったわけです。

一部の世代のお客さまだけがターゲットでは当然、店舗としては効率が悪くなります。さらに他の世代を取り込む新しいマーチャンダイジングもなかなか上手くいかなかった。ですから、いったん店舗面積を適正化して空いたスペースに私たちの店舗に来ていただけていないお客さまを呼べるテナントに入っていただき、館全体として客層を増やすべく改装を進めています。

若年層、ファミリー層に刺さる売り方

ただ、これはあくまで止血処置です。F2層(35歳~49歳の女性)、M2層(35歳~49歳の男性)といわれるファミリー層に対してどういう品揃えをしたらいいのか、どんな売り方をしたらいいのかを含めてさまざまな試みをしています。7月6日に改装オープンした幕張店も、そういったことに挑戦しています。

一家5人でスーパーでお買い物
写真=iStock.com/tdub303
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まずは今ある商品を編集し、見せ方を工夫して、SNSによる情報発信などと組み合わせることで、若年層のお客さまにどこまでご支持いただけるのかを探っていきます。合わせて商品の中身も変えていきます。これまではどうしても内部でやろうという意識が強かったのですが、外部のいろいろな方の知見をお借りしながら、場合によっては外部のアパレルと手を組んで新たなマーチャンダイジングをつくっていくことも検討しています。