素朴な「問いかけ」のすごい力
「なぜカーナビを作るのですか?」という素朴な問いかけは、今一度、チームが事業に向き合うきっかけを生み出しました。このように、たったひとつの問いかけが、枯渇していた衝動に再び火を点け、形骸化した目的を意味のあるものへとアップデートする契機にもなりうるのです。
これによって「AIを活用したカーナビを作らなければならない」という「とらわれ」も揺さぶられ、結果としてこのチームは、私が会議のファシリテートをするまでもなく「未来の移動の時間」について、活発なディスカッションを始めました。それまではどこか正解を探るような空気があったのが一変し、それぞれが衝動のままに実験的なアイデアを提案するワークショップ型のチームへと、問いかけによって変化していったのです。
チームのポテンシャルが抑制された状態とは、言い換えればチームの可能性に光が当たらなくなってしまっている状態です。問いかけとは、チームの変化の可能性、そしてメンバー一人ひとりの隠れた魅力や才能に光を当て直す「スポットライト」のようなものなのです。