部下は尻を叩かれるより、背中を押してほしい

BEFORE「中途半端だね。最後までやり切らないと意味ないよ」
AFTER「いい所まできているから、あと少しだけ一緒にがんばろう」

商品開発、サービス開発、映画制作、広告制作、デザイン、アート、仕事全般。

どんな領域でも、完璧主義を貫けるに越したことはありません。

しかし、チャレンジし続けていれば、7割程度の完成度でもアウトプットせざるを得ないタイミングが、必ずやってきます。

チャレンジングな制作とは、先行事例がなく、ゼロイチでアイデアを練り上げ、実現方法を考え、スケジュールを組み立て、必要なスタッフと協力し、関係者間で金額の調整をし、あらゆるリスクを想定し、時にはすべてを一からやり直し、「あぁ、もう締め切りだ」と焦りながら、なんとか世にアウトプットするものです。

そのようなギリギリの営みに対し、「中途半端なものは偽物だ」と言わんばかりに、「まだまだダメ」と腕組みをしながら批評するのはフェアではありません。

たとえ叱咤しった激励の意図があったとしても、言葉の受け手が「よっしゃ! 悔しいから負けないぞ!」と奮い立つばかりではないのです。普通に応援してくれたり、何らかのサポートをしてくれたりするほうが、一億倍ありがたいはずです。

腕を組むビジネスマン
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

本人が分かっていることを指摘しても意味がない

BEFOREのように、「中途半端だね」と冷笑するのは簡単なことです。むしろ完璧なチャレンジなど、チャレンジではありません。少しでも理想と現実の穴を埋めようとする営みこそがチャレンジだからです。

そして、やり切らないと意味がないのは、本人がいちばん分かっているものです。

そのコンプレックスを刺激しても意味はありません。

このように見ていくと、「いい所まできている」と現状を肯定するほうがよっぽどエンパワーメントにつながります。7割の完成度だとしても、7割のところまで取り組んできたことを讃えましょう。「ここまでできたこと自体がすごい」といった前置きをしてもいいでしょう。それは、言葉の差し入れになります。

言葉の差し入れに加えて、可能なら「一緒にがんばろう」と共闘できれば最高です。