「第2の冷戦」はもう始まっている
ラブロフ外相は最近、「新たな鉄のカーテンが降ろされた」と述べ、1946年のチャーチル英首相のフルトン演説さながら、新冷戦が始まったとの認識を示した。
西側と中露の2陣営が対立し、他の中立・非同盟諸国への浸透を競い合うとの認識だ。先の中露外相会談は、BRICsやG20(主要20カ国・地域)、上海協力機構(SCO)などの国際舞台で、協力と共同行動を拡大することで合意した。
ロシアは対露経済制裁を発動する日米欧など約40カ国を「非友好国」に認定し、エネルギーを武器に逆制裁で対抗。アルゼンチンやイラン、エジプト、トルコ、インドネシアなど地域大国を自陣営に取り込もうとしている。
この点で、米国の通信社ブルームバーグは「ロシアと中国を孤立させようとする米国の外交努力はうまくいっていない。多くの国が西側の説得に応じようとしない」と指摘した。
中国軍が北方領土に上陸するかもしれない
ロシアはアジアで最も厳しい対露制裁を発動した日本を目の敵にし、「サハリン2」国有化など制裁の倍返しをしており、今後、中国と連携して日本への外交・軍事圧力を強めそうだ。
ロシア軍は8月30日から9月5日まで、極東など東部軍管区で4年に1度の大規模軍事演習「ボストーク2022」を実施する。前回の2018年の演習は30万人規模の大演習となり、中国軍も参加した。
北方領土の国後、択捉両島も演習地とされており、中国軍の北方領土上陸があるかもしれない。中国は日中友好時代、北方領土問題で日本の返還要求を支持していたが、中国外務省報道官は2020年、「反ファシスト戦争勝利の結果は尊重されねばならない」と、ロシア擁護に転換した。
昨年10月の衆院選期間中、中露の軍艦計10隻が日本列島を一周し、今年7月の参院選でも中露の軍艦が日本近海で共同航海を行った。月末からの演習でも、中露艦船が再び日本を挑発する事態もあり得る。
岸田外交はコロナ禍やウクライナ侵攻で米国との「一枚岩外交」を強いられたが、中露離間に向けた「変化球外交」も期待したいところだ。