無理に上司らしく振る舞おうとしなくていい

繰り返しますが、私は仕事ができて人がついてこない上司はすべて間違いというわけではないと思っています。実際に企業では、部下無し管理職がスペシャリストとしてその他の管理職と同等に扱われる複線型人事のような動きも出てきています。

【図表1】仕事ができるのに人がついてこない上司
図表=筆者作成

では、そういったタイプの上司がどうすればいいかと言うと、「部下を率いる」という気持ちをいったん抑えて、相手の性格や特徴を観察しながら部下一人ひとりと丁寧に付き合っていくのです。無理に従えようとしたり、上司らしく振る舞おうとしなくていいのです。

というのも、上司個人としては仕事ができるので、普段の背中や行動で見せていけば、周りは影響を受けて勝手に学んでいくからです。そうこうしているうちに自然と人が集まっていた、こういう状況がこのタイプの上司の理想なのではないでしょうか。

仕事はさほどでなくても、この人のためならと思われる上司

「仕事はできるけど人がついてこない上司」とは反対に、「仕事はそこまでできるわけではないけど、なぜかこの人のためならと思われる上司」っていますよね。

そういう上司のまわりではなぜか、

・辞めると言っていた部下が会社にとどまる
・いつの間にかクレームが解決してしまう
・難易度の高い案件をあっさり受注してしまう
・目立たなかったダークホース人材がよく育つ

といった不思議現象が起こります。

理由は当の本人もよく分かっていなかったりします。自分はなんて運がいいんだと。また、その人のまわりは、いつも明るく柔らかな雰囲気に包まれています。

オフィスで笑顔で話している人たち
写真=iStock.com/imtmphoto
※写真はイメージです

決して目標に対してマッチョなタイプではなく、人を押しのけてまでバリバリ結果を出すタイプでもありません。まわりの人みんなが好循環であるかが大切なのです。

そんな調子なので、仕事をすれば結果として自分一人がやれること以上の成果をチームとして残すことができます。世の中でハラスメントやブラック企業の問題が指摘される中で、時代が求めているのはこちらの上司像かもしれません。