平均月間視聴時間でティックトックに負けている

広告市場は“レッド・オーシャン”と化している。メタ(旧フェイスブック)やツイッター、さらにはティックトックの参入によって広告シェアの争奪戦は熾烈しれつだ。2022年1~3月期のユーザー1人当たりの平均月間視聴時間でティックトックはYouTubeを上回った。検索データとのひも付けによって個人の好みに合った広告を打ち出しやすいというグーグルの強み(コア・コンピタンス)は薄れている。

広告のサブスクリプション市場では、いかに新しいコンテンツを打ち出して、より多くのユーザーを確保するかという競争が激化している。そうした競争に対応すればするほど、企業は消耗戦に巻き込まれるだろう。広告に限らず、動画や音楽など、サブスク型のビジネスモデル全体が行き詰まり始めている。

ピチャイCEOが画策する「クラウドへの転換」

その状況下、サブスクリプションをベースとした広告事業からクラウドへ、ピチャイCEOはダイナミックに経営資源を再配分しようとしている。もともと、クラウドという言葉を生み出したのはグーグルの元CEO、エリック・シュミットだった。それを基に米国立標準技術研究所(NIST)は次の通り定義した。

クラウドコンピューティングとは、ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービスに対して、どこからでも、簡便に、必要に応じてネットワーク経由でアクセスすることを可能にする仕組みである。

クラウドは、必要に応じて利用者自らの考えにのっとって設定が可能(オンデマンド、かつセルフサービス)であり、幅広いアクセスを可能にし、共用でき、スピーディーな拡張性を持つ。また、サービスは計測可能でなければならない。以上の定義を確認することによって、クラウド分野の成長期待の高さをよりよく理解できるだろう。