ジェンダー平等に貢献したか
UN Women 日本事務所(@unwomenjapan)は、7月9日に次のようにツイートした。
それは@HeForSheの次のような英文のツイートをRTしたものだ。
#HeForShe チャンピオンであった安倍晋三元総理の悲報に接し悲しみに暮れています。日本国内外におけるジェンダー平等のための彼のリーダーシップと献身は大変高く評価されていました。
— UN Women 日本事務所 (@unwomenjapan) July 9, 2022
ステートメント全文(英語)は以下ツイート本文より↓ https://t.co/S9P8isrjyL
これ以外にも、事件直後に、女性活躍やダイバーシティ推進関係のイベントがあるたび、海外からのコメントで、アベノミクスをジェンダー平等に貢献したものとして位置づけ、日本国民に哀悼の意を示すものをいくつか目にした。
本当に安倍氏は、「日本国内外におけるジェンダー平等のための彼のリーダーシップと献身は大変高く」評価されていると言えるだろうか?
カッコつきの「女性活躍」
2012年末に立ち上がった第2次安倍政権は、成長戦略の中核に女性活躍を位置づけた。このことから、海外からもアベノミクス=ウーマノミクス、という印象は強いようだ。2015年には大企業の管理職比率などを公表させる女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が施行された。
私自身、2014年に『「育休世代」のジレンマ』という本を出し、総合職女性が直面する問題について発信し課題解決を目指していた。大企業が強制的に女性比率に向き合わないといけなくなったことが、企業内のダイバーシティ推進の追い風になったことは間違いない。
しかし、そもそも、当時からこの施策自体が、女性、特にシングルマザー等が困窮する原因となっている女性の非正規比率の高さ、そして非正規の処遇などの問題よりも「一部のエリート女性にのみ資する」ことを優先させる政策として批判を浴びていた。
私は当時、困窮している女性向け施策も必要なことは間違いないが、正社員女性のガラスの天井問題も確かにあり、両方やるべきものとして女性学会などで主張した。総合職女性が直接的にそうではない女性を踏み台にすることで管理職になるというような性質のものではなく、トレードオフにはならない、むしろ意思決定過程に女性が入ることで女性全体に資することもあると思ったからだ。