雑談が苦手な日本人

地位の高い人の話というのは、概して硬くてつまらないものです。そういう人のスピーチは最初からしてイメージがよくありません。「ああ、この人が出てきたか」と思った瞬間から眠くなってくる。とくに昼ご飯が終わった後の会議なんてひどいもので、そういう人の話は子守歌になってしまう。文字で起こしてみたら内容も悪くないし、結構いいことを言っているのに眠くなるというのは、やはり訴える力がないからなのです。

企業の役員室にある大きなテーブルと椅子
写真=iStock.com/mevans
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とはいえ、スピーチとはまったく関係ない、訳のわからないジョークを言っても仕方がありません。その話に関連するジョークを言わないといけない。この「雑談力」というのも日本人が苦手としている分野でしょう。

外国に行くと、「日本人ほどおもしろくない国民はいない」とよく言われるのはそのためです。あるとき、「なぜ日本人はあんなにおもしろくないのか」と中国人に面と向かって言われたことがあります。中国人は丸テーブルに座って話をしながらご飯を食べたり、お酒を飲むので、自然と雑談力が磨かれていくのでしょう。

一方の日本人はどうでしょうか。日本電産の幹部でランチをしたら、ご飯を食べることばかりに気を取られて、話をしようという気がそもそもない。料理は個別に出てくるのだからそんなに慌てて食べなくてもいいものを、ただ下を向いて食べている。これでは雑談力を向上させるのは難しいでしょう。

リーダーに必要なのは「訴える力」

従業員が10人いるのか、100人いるのか、1000人いるのかは別として、自分の思っていることを組織の上に立って訴えることができるかどうか―─。これが、リーダーの原点であり、必須だと考えています。

日本には会社が約500万社あるとされますが、99%が中小企業です。それ以上大きくならないのは、「どういった志を持っているか」がまずもって影響しているのですが、志以上に「組織を大きくしていく力」、すなわち、訴える力が欠けていることが多いのではないでしょうか。

日本電産のグループ会社を見ても、訴える力のあるところは成長性が高いという特徴があります。訴える力があれば、聞いている社員が「これならやっていけるんじゃないか」「自分もがんばろう」という気持ちになります。

一方、訴える力がなければ、聞いているほうは「この人はまた口だけやな」「言っていることとやっていることが違うな」という気持ちになってしまう。それでは、訴える力どころか、逆に「口から出まかせ」になってしまい、何の効果もなくなってしまいます。

つまり、訴える力というのは、求心力、人心掌握力なのです。相手の心に訴えるものでなければ、人が動くことはないでしょう。