教会がなぜ鮮魚の流通に目をつけたのか。ニューヨーク・タイムズ紙は、「結局のところ、彼らは神の国をつくろうと旅に出て、どういうわけかアメリカで鮮魚を売ることになったのだ」とも述べている。教会は当初アメリカで信者の拡大を目指したが、思いつきで始めたサイドビジネスが予想外の成功を収めたという経緯だったのかもしれない。

記事によると、日本から新鮮な魚介を航空便でアメリカの内地に運ぶなど、現地の寿司のレベル向上に一定の貢献をした模様だ。

一方、同社には問題行為も発覚している。シカゴ・トリビューン紙は、同グループの漁業企業が許可された漁獲枠を超えて漁を行っていたほか、グループが運営する加工向上に衛生上の問題が発覚したと報じている。米食品医薬品局(FDA)がデトロイト郊外のトゥルー・ワールドの工場を調査したところ、「著しく不衛生な状態」だと指摘されたという。

金儲けのために日本人は利用されてきた

旧統一教会は日本での強欲な資金集めを皮切りに、アメリカで花開きつつあった寿司ブームへの便乗、そして現地の日本人伝道師のアイデンティティーを利用して寿司業界に接近するという手口を重ねた。

本来であれば信仰の場として機能すべき教会は、日本人信者たちからカネを巻き上げ、それを元手にアメリカで巨大コングロマリットを築きあげることに腐心していたことになる。

日本の信者たちが高額な献金を半ば強要され、家庭崩壊に至る人々が続出するなかで、資金を国外に移転してアメリカでのビジネスを試みるという姿勢は理解に苦しむ。

壁に映る魔の手の影におびえる女性
写真=iStock.com/fcscafeine
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また、韓国発祥の宗教団体がアメリカに赴き、代表的日本文化のひとつである寿司に通じるビジネスを展開しているという構図も不思議だ。トゥルー・ワールドは宗教色を極力隠しているようだが、カルト教団が全米寿司レストランの流通網を支えていると知れたならば、日本文化への風評被害も免れない。

いっそビジネス集団へと舵を切るならばそれもよいが、いまだ霊感商法と献金の強要にもうまみを見いだしている現状に、教義ではなくカネを拝む姿勢が透けてみえるようだ。

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