合格者が通う登竜門「帰国子女アカデミー」の正体
そんなトップレベルの帰国生中学入試の受験生はどんな受験対策をするのか。一般的な中学入試なら、サピックスや日能研、早稲田アカデミーといった進学塾に通うことだが、そうした塾は英語に特化した帰国生入試に対応できない。
帰国生入試を受ける子供の多くが通うのが、「帰国子女アカデミー(KA)」である。帰国生や英語コミュニケーション力を身に付けている子供たちが、日本でも海外現地校と同レベル以上の授業を受け、英語力の維持、伸長を図ることを目的に、2004年、東横線都立大学駅(目黒区)近くに開設された。
帰国受験に特化した英語塾としてまたたく間に勢力を広げ、現在は、海外からの帰国子女が多く住むたまプラーザ(横浜市青葉区)、吉祥寺(東京都武蔵野市)など、首都圏に8つの校舎を展開し、海外在住の受験生が学ぶ通信コースも合わせると、約3000人が学んでいる。
月謝は、週1回2時間の授業で約4万円(小1から小6まで同額)。受験学年になるとエッセイ講座や学校別対策講座が開講され、当然ながら月謝はさらに跳ね上がる。
KAのサイトに掲載された帰国枠受験実績を見ると、これがすさまじい。
・2021年度は、渋幕の34名の合格者全員、渋渋は26人の合格者中23人がKAの生徒。
広尾学園も例年、帰国枠合格者の9割がKAに在籍している。つまり、渋ズなど英語で受験できる帰国入試のトップ校に受かりたければ、「KA一択」というのが帰国受験の常識なのだ。
「受験が終わってもずっと役立つ受験体験を」をコンセプトに掲げるKAの授業内容は、ハイレベルそのもの。英語の多読によるインプットを洗練されたライティング技術でアウトプットすることが合格への近道とされ、とにかく良質な英語を読み、書かされる。小6の受験生になると、毎週異なるエッセーを2、3本同時進行で書き上げていくことが要求される。
そのため受験生は、毎日ニューヨーク・タイムズやファイナンシャル・タイムズなど、英米の新聞記事を読み、CNNやBBCテレビ、ラジオから最新のニュースを仕入れる。朝食はPodcastを聞きながら、YouTubeで視聴するのはTED Talksなど、グローバルに活躍するビジネスパーソンもびっくりの英語漬けの生活を送っているのだ。