運転中のトラブルを回避するにはどうすればいいのか。モータージャーナリストの菰田潔さんは「危険な運転をするドライバーには車間距離が短い、ハンドルを切るのが速いといった特徴がある。また、『延々と右側の追い越し車線を走るドライバー』も自分の目の前しか見えていないので、近づいてはいけない」という――。
欧米ドライバーの常識は「車間距離は2秒間」
クルマを安全に走らせるかどうかは、クルマのせいではなく運転しているドライバーが鍵になる。つまり同じ車種でもドライバーによって危ないクルマにも安全なクルマにも変身するということだ。
ここでは危ないドライバーのそばに寄らないようにするために、危ないドライバーの見分け方を研究してみる。この見分け方を知るだけでも安全運転に大きく貢献するはずだ。
1.車間距離が短いドライバー
いま世界では「車間距離は2秒間あける」ことが常識になっている。アメリカでもイギリスでもドイツでも教習所で車間距離は2秒間と教わる。
最初の1秒の間に危険を察知してどのように行動するか決め、残りの1秒でブレーキを踏む、ハンドルを切るなどの事故回避の運転をする。
「私は0.3秒で反応する」とか「0.1秒でブレーキを踏めます」という人がいるかもしれないが、何かあることを前提とした緊張状態ではなく普通に運転しているときの反応時間は1秒間と言われているので欧米では2秒の車間距離が標準化している。もちろん脇見やら居眠り運転をしていたらもっと時間がかかる。
前のクルマが橋桁の下を通過するときに、ゼロ、イチ、ニとゆっくりカウントするとほぼ2秒になる。ニという前に自分が橋桁の下に入らないようにする。
100km/hのときには1秒間に約28m進むから2秒だと約56mという計算になる。
余裕があれば2秒以上の車間距離が安全運転には良いのだが、交通量の多い高速道路では車間距離を2秒にすることで単位時間あたりの通過台数を増やすことで渋滞を作らないようにしている。4秒あけるより約2倍のクルマが通過できる計算になる。ようするに安全と交通の流れの両方を満足するのが2秒の車間距離なのだ。