韓国は「日本国民は『岸田改憲』には賛成できる」と警戒

参院選の結果、憲法改正に前向きな自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党の議席は参院で改正の発議に必要な3分の2以上の議席を占めた。衆院の改憲勢力は先の総選挙で4分の3に達しており、韓国保守系の朝鮮日報は「安倍元首相が生涯をかけ課題として推進してきた『憲法改正』が実現する可能性がこれまで以上に高まった」と分析する。

日本国憲法改正草案
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「ロシア軍のウクライナ侵攻後、安全保障に対する危機感が高まり、改憲に賛成する国民世論が形成されたことや、『核兵器のない世界へ』を強調する岸田文雄首相のイメージが安倍元首相ほど好戦的でないということも、改憲に追い風となっているとの見方もある。『安倍改憲』には反感を持っていた人々も『岸田改憲』には賛成できるということだ」という。

韓国の日刊紙ハンギョレは社説で「安倍元首相は靖国神社を何度も参拝し、日本の植民地支配と侵略の歴史に対する反省を拒否し、元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決に反発し、輸出規制措置をとるなど韓日関係が最悪の状況に陥るのに重要な役割を果たした人物だ。しかし政治家を狙った銃撃暗殺はいかなる問題も解決できない」と論じる。

「今回の事件自体、大きな悲劇だが、韓日関係とアジア情勢に暗い影を落とす恐れがある。『弔い選挙』となった参院選の結果、安倍元首相率いる自民党内強硬派の声がさらに強くなる。平和憲法の核心である9条を変えて自衛隊の役割を明示する改憲や防衛費増大など日本軍備強化の動きが強まるとの懸念が出ている」と指摘している。

歴代米大統領はこぞって安倍元首相の死を悼んだ

バラク・オバマ元米大統領は「私の友人であり、長年のパートナー、安倍元首相が日本で暗殺されたことに衝撃と悲しみを覚える。安倍元首相は自らが仕える国と日米の並外れた同盟の双方に献身した。同盟強化のために行った仕事、広島と真珠湾を一緒に旅した感動的な体験、昭恵夫人が私とミシェルに見せてくれた優しさをずっと覚えている」とツイートした。

16年11月、人種差別や女性差別をあおる発言を繰り返し、物議を醸したドナルド・トランプ前米大統領が大統領選に当選するや否や、安倍元首相はトランプタワーに駆けつけ、ゴルフクラブを贈呈、いち早く信頼関係を構築した。まだ正式に政権が交代する前に次期大統領と会談した行動は一部から顰蹙ひんしゅくを買った。

トランプ氏は自身のソーシャルメディアへの投稿で「世界にとって本当に悪いニュースだ。安倍晋三がいかに偉大な人物でありリーダーであったかを知る人は少ないが、歴史がそれを証明するだろう。何よりも偉大な国、日本を愛し、大切にする人であった。彼のような人は二度と現れないだろう」と友人の死を悼んだ。

現職のジョー・バイデン米大統領は駐米日本大使公邸を訪れ、「世界にとっての損失。平和と良識の人だった」と記帳した。「副大統領として東京に彼を訪ね、ワシントンに彼を迎え入れた。日米同盟と日米国民の友好を唱えた人だった。自由で開かれたインド太平洋という彼のビジョンは今後も受け継がれる」との声明を発表した。