※本稿は、タザキ『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
高配当や優待を売りにする大企業の事情
投資によるリターンは大きく2種類あります。値上がりによる売却益であるキャピタルゲインと、保有中にもらえる利子や配当といったインカムゲインです。どちらも投資家に報いている点は同じですが、形式が異なります。
キャピタルゲインは、長期的には企業の本質的価値の増大によってもたらされます。投資家からすれば、配当でもらってしまえば、せいぜい2、3%のリターンです。成長期の会社なら、会社を大きくするための設備投資や人材雇用に投資したほうが、将来的に数百%のキャピタルゲインで返ってくる可能性があります。
一方、すでに大きくなってしまった会社は、成長の余地があまりありません。受け身の表現になりますが、キャピタルゲインを出せないからこそ、高い配当で投資家に報いなければなりません。実際、高配当で有名な大企業の業績や株価は、これから10倍になるとは考えにくいでしょう。そうなると、高い配当や優待を駆使して投資家に買ってもらうしかないのです。
投資フェーズによって収益の源を変える
これらは一長一短なのですが、投資のフェーズで向き不向きがあります。
「資産形成期」にはキャピタルゲインを、「取り崩し期」にはインカムゲインを重視するのが良いでしょう。
資産形成期とは、投資を生活費の頼りに取り崩す必要がなく、資産を大きくすることを目的とする時期をさします。このようなまだ資産が小さい時期には、下手にリターンを現金で受け取ることはせず、再投資に回して複利運用していったほうが、将来的に大きな資産を築くことができます。配当で受け取ってから、それを再投資に回すことももちろんできますが、それでは税金面で少し損をしてしまいます。
「税引き後の配当を再投資に回そうが、先に再投資して最後に一気に税金を取られようが、結局同じなんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、実は後者のほうが節税になります。もちろん、長期的に税率が変わらなければ、の話です。